第2話 男の正体(6)

 階段の先の扉を開けると、広い部屋に出た。その先には青く輝くオーブがある。ウンディーネのオーブだ。


「誰だ!」


 誰かの声がして、2人は振り向いた。そこには1人の男がいる。どうやらウンディーネのオーブが奴らに取られないように見張っているようだ。


「お前!」


 太一は拳を握り締めた。この男が村を焼き払った。許せない。絶対に許せない。


「よくわかったな。お前の村を焼き払ったのは私だ」


 男は笑みを浮かべた。村を焼き払って嬉しそうだ。


「許さねぇ!」


 2人は拳を握り締めた。絶対に許せない。


「ほほう。やる気か・・・」


 すると、男の体が光り出した。すると、男の手足がなくなり、ウミヘビのようになっていく。男は巨大なリヴァイアサンに変身した。


「さぁ、かかってこい!」


 巨大なリヴァイアサンが襲い掛かってきた。


「天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。だが、巨大なリヴァイアサンの表情は変わらない。


「許さねぇ!」


 太一は雷を帯びた鎌で何度も斬りつけた。それでも巨大なリヴァイアサンの表情は変わらない。


「これで勝てると思うのか?」


 巨大なリヴァイアサンは不敵な笑みを浮かべている。勝てるわけがない。


「これでも食らえ!」


 巨大なリヴァイアサンは強烈な雷を吐いた。2人は大きなダメージを受けたが、びくともしない。


「天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。巨大なリヴァイアサンは体がしびれない。


「お前を絶対に許さない!」


 太一は雷を帯びた鎌で何度も斬りつけた。より一層力がこもっている。焼き討ちで殺された彼らのためにも敵を討たねば。だが、それでもリヴァイアサンの表情は変わらない。


「こんなので倒せると思ったら大間違いだ!」


 巨大なリヴァイアサンは太一に噛みついた。太一は大きなダメージを受け、表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で太一を回復させた。


「覚悟しろ!」


 太一は炎を帯びた鎌で斬りつけた。巨大なリヴァイアサンは不敵な笑みを浮かべている。


「無駄だ! 諦めろ!」


 巨大なリヴァイアサンは激しい炎を吐いた。2人は大きなダメージを受け、ダミアンは表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「許さん!」


 太一は雷を帯びた鎌で何度も斬りつけた。巨大なリヴァイアサンの体はしびれない。


「ここで死ぬがいい! 友達が待ってるぞ!」


 巨大なリヴァイアサンは笑みを浮かべながら氷の息を吐いた。2人は大きなダメージを受けたが、びくともしない。殺された彼らのためにも敵を討たなければ。こんな事で天国に行くのは御免だ。おまえを倒して、人生を全うしてからだ。


「天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。巨大なリヴァイアサンは少し表情が苦しくなったが、すぐに持ち直した。


「食らえ!」


 太一は雷を帯びた鎌で何度も斬りつけた。巨大なリヴァイアサンは少し表情が苦しくなった。


「終わりだ! 死ね!」


 巨大なリヴァイアサンは激しい炎を吐いた。2人は大きなダメージを受け、ダミアンは表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「絶対に許せない!」


 太一は炎を帯びた鎌で斬りつけた。巨大なリヴァイアサンの体に火が点かない。


「ここで死ぬのだ!」


 巨大なリヴァイアサンは太一に噛みついた。太一は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で太一を回復させた。


「この野郎!」


 太一は雷を帯びた鎌で何度も斬りつけた。だが、巨大なリヴァイアサンには全く効いていないようだ。


「諦めろ!」


 巨大なリヴァイアサンは灼熱の炎を吐いた。2人は大きなダメージを受け、表情が苦しくなった。


「くそっ、くそーっ!」


 太一は拳を握り締めた。すると、太一の体に異変が起きた。太一の体が徐々に大きくなり、巨大なリヴァイアサンのよりも更に大きくなる。まるで天井に届きそうなほどだ。


 その様子を、ダミアンは腰を抜かしてみていた。ダミアンがこんな力を持っていたとは。


「くそーっ、しつこい奴め!」


 巨大なリヴァイアサンは灼熱の炎を吐いた。だが、巨大になった太一には全く効いていないようだ。


「そんな・・・、そんな・・・」


 巨大なリヴァイアサンは荒い息を立てながら呆然とした。


「俺の怒り、受けてみろ!」


 太一は自分とともに大きくなった鎌で巨大なリヴァイアサンを斬りつけた。巨大なリヴァイアサンは非常に大きなダメージを受け、前かがみになった。


「すばしっこい奴め!」


 巨大なリヴァイアサンは灼熱の炎を吐いた。だが、太一には全く効かない。


「そんなの、通用せぬわ!」


 太一は不敵な笑みを浮かべながら、巨大な鎌で巨大なリヴァイアサンを斬りつけた。


「くそっ、やはりこいつが世界を救う奴らなのか。強い、強すぎる・・・。父なる創造神、王神龍様、どうか、お助けを・・・」


 巨大なリヴァイアサンは倒れた。


「みんな・・・、やったよ・・・」


 太一は天国にいる村民に告げた。その言葉は、果たして届いただろうか?


 目の前には、ウンディーネのオーブがある。ウンディーネのオーブはより一層光り輝いている。悪い奴がいなくなったからだろう。


「助けてくださってありがとうございました。私は水の精霊、ウンディーネ。この世界は危機に瀕しています。200年前、この世界を作り直し、人間を絶滅させようとした王神龍が蘇ったのです。このままでは人間が絶滅してしまいます。どうか、人間を絶滅させないためにも、この世界を守るためにも、私の力を役立ててください。ですが、王神龍に立ち向かい、封印するためには、あと10の力が必要とされています。4大精霊のオーブと7つの要素の最高神です。ここから最も近い精霊の祠は、ビルカタウンの大地の祠です。冒険はまだ始まったばかりです。一刻も早く集め、世界を救ってください。期待してますよ」


 2人はウンディーネの話をよく聞いていた。これは世界の危機だ。みんなは気づいていないが、近い将来、この世界から人間がいなくなるかもしれない。僕らがそれを阻止するんだ。


 その時、2人の体が光に包まれた。2人は驚いた。何が起こったんだろう。


 光が収まると、そこは神殿の見える海水浴場だ。だが、海水浴場の人々は相変わらず何も気が付いていないようだ。神殿が見えないようだ。


 程なくして、大きな地響きが起こった。だが、周りの人々は何も表情が変わらない。これも見えていないようだ。


 それと共に、水の神殿が大きな音を立てて海底に沈んでいく。再び世界が危機になり、世界の救世主が現れるまで現れない。恐らくまた200年後だろう。


 ここから一番近い精霊の祠は、大地の祠だ。ビルカタウンへは、ここから大陸横断鉄道で1日かかる。ダミアンはバイクに乗れるが、ここは鉄道で向かわねば。早く行かねば。これは世界の危機だ。


 その頃、カーフェリーがインガー港にやって来た。そのカーフェリーにも多くの乗客が乗っている。そして、その中にもまた1人、世界を救う英雄が1人いる。那須野豊だ。彼はビルカタウンに向かおうとしている。そこに釜戸翔がいると聞き、夜行急行で向かおうとしている。

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