第4話 友よ(1)

 那須野豊(なすのゆたか)はゴルドの国、アズマに住む少年。両親ともに妖狐族で豊は九尾の狐だ。兄弟姉妹はいない。九尾の狐としての姿は黒い銀狐だ。両親は白い体毛だが、なぜか黒で生まれてきた。だが、彼はあんまり気にしていなかった。


 ある日の夜、豊は熱風で起きた。部屋の向こうから煙が出ている。火事だ。豊は驚き、窓から逃げようと考えた。両親はどこにいるんだろう。だが、今は考えてはいない。脱出することしか考えなければならない。


 豊は九尾の狐に変身して、窓から飛び降りた。人間なら普通倒れるが、狐なら肉球があるので大丈夫だ。そう思い、狐の姿で飛び降りた。


 豊は燃える家を見ていた。どうして火事が起きたんだろう。火の不始末だろうか? それとも、ストーブから引火したんだろうか? それとも、放火だろうか?


「豊、逃げて!」


 突然、誰かの声が聞こえた。母だ。逃げ遅れて、炎に囲まれている。もう逃げられないだろう。そう思い、逃げるように命令していると思われる。


 と、父の姿も見える。父は焼けただれて、苦しんでいる。それを見て、豊は呆然となった。どうしてこんな目に遭わなけらばならないんだろう。どうしてこんな運命になるんだろう。


「お父さん! お母さん!」


 豊は叫んだ。だが、両親は炎に包まれた。豊は泣きながらその様子を見ていた。だが、両親の声はもうしない。もう死んだと思われる。




「豊、大丈夫か?」


 豊は夢を見ていた。もう何日もこんな夢を見ている。あれは4歳の頃だった。平和な日々だったのに、火事で両親を失った。それ以来、豊は別の町、コウで暮らしている。そんなに辛いことはない。だが、毎日こんな夢を見る。まだ火事の事がトラウマになっている。


 目の前には烏森翼(かすもりつばさ)がいる。陰摩羅鬼族の少年で、豊の親友だ。火事以来、豊を居候として迎え入れ、一緒に暮らしている。


「大丈夫だよ」


 豊は笑顔を見せた。だが、本当は大丈夫じゃない。それを隠すために笑顔を見せている。


「またあの夢を見たのか」


 翼にはわかっていた。毎日あんな夢を見ている。よほどショックなんだろう。よくわかるけれど、負けずに生きてほしい。


「うん」


 結局認めた。もう何日もこうだ。いつになったらいい夢を見れるんだろう。豊は下を向いた。


 突然、男が家に入ってきた。町の人のようだ。


「また見張り頼む」

「ああ」


 ここ最近、敵がこの町に襲い掛かってくることが多くなった。そのため、町の人は交代交代で見張りを立てて、対策している。だが、それもいつまで持ちこたえるんだろう。不安もある。だが、守らなければならない。


 豊と翼は見張りをすることになった。豊は忍者刀を手に取り、町の入口に向かった。翼は魔法の杖を持った。


 この時間には毎日見張りだ。学校がある日は夜に見張っている。だが、今は夏休みなのでいつ回ってくるかわからない。


「今日も見張りか?」

「うん」


 今日も朝から見張りだ。一体いつになったら来なくなるんだろう。そう思いつつ、豊は翼と一緒に見張りに出ることにした。


 2人は町の入口にやって来た。入口には2人の男がいる。見張りだ。


「交代だよ」

「あ、ありがとう」


 2人は男達に変わって見張りを始めた。間もなくして、敵が襲い掛かってきた。2匹の黄色いドラゴンと3匹の赤いオオカミだ。


「氷の力を!」


 翼は魔法で5匹を氷漬けにした。5匹はダメージを受け、2匹の赤いオオカミは氷漬けになった。


「覚悟しろ!」


 豊は持っていた忍者刀で赤いオオカミを斬りつけた。赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。だが、2人はびくともしない。


「ガオー!」


 もう1匹の黄色いドラゴンは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「ガオー!」


 赤いオオカミは翼に噛みついた。だが、翼はびくともしない。


「天の怒りを!」


 翼は魔法で雷を落とした。5匹はダメージを受けた。1匹の赤いオオカミが倒れ、残った2匹の赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「覚悟しろ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。それでも2人はびくともしない。


「グルルル・・・」


 もう1匹の黄色いドラゴンは翼に噛みついた。翼は少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で自分を回復させた。


「覚悟しろ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「グルルル・・・」


 残った黄色いドラゴンは豊に噛みついた。豊は少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で豊を回復させた。


「食らえ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「大地の力を!」


 翼は魔法で地響きを起こした。3匹はダメージを受けた。2匹の赤いオオカミは倒れ、黄色いドラゴンは表情が苦しくなった。


「とどめだ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「今日もよく出るな」

「うん」


 豊はため息をついた。ここ最近はなぜかよく出る。それはまるで何かの予兆のようだ。


 翼もため息をついた。その時、再び敵が襲い掛かってきた。黄色いドラゴンと2匹の赤いオオカミと3匹の1つ目のヘビだ。


「天の怒りを!」


 翼は魔法で雷を落とした。6匹はダメージを受け、2匹の赤いオオカミと2匹の1つ目のヘビは体がしびれた。


「食らえ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。1つ目のヘビは表情が苦しくなった。


 突然、1つ目のヘビは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「炎の力を!」


 翼は魔法で火柱を起こした。6匹はダメージを受けた。1匹の1つ目のヘビは倒れ、残った2匹の1つ目のヘビは表情が苦しくなった。


「覚悟しろ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。2人はダメージを受け、豊は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で豊を回復させた。


「食らえ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「大地の力を!」


 翼は魔法で地響きを起こした。4匹はダメージを受け、2匹の1つ目のヘビは倒れた。


「覚悟しろ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。赤いオオカミは少し表情が苦しくなった。


「炎の力を!」


 翼は魔法で火柱を起こした。2匹はダメージを受けた。1匹の赤いオオカミは倒れ、残った赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「とどめだ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。残った赤いオオカミは倒れた。


「大変だな」

「いつまでこんな日々が続くんだろう」


 2人は不安に思っていた。だが、町のために頑張らねば。そう思っていたら、再び敵が襲い掛かってきた。2匹の黄色いドラゴンと3匹の赤いオオカミだ。


「雪の力を!」


 翼は魔法で吹雪を起こした。5匹はダメージを受け、1匹の赤いオオカミは氷漬けになった。


「食らえ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。赤いオオカミは表情が苦しくなり、1匹の赤いオオカミは氷漬けになった。


「グルルル・・・」


 赤いオオカミは翼に噛みついた。だが、翼はびくともしない。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは豊に噛みついた。だが、豊もびくともしない。


「ギャオー!」


 もう1匹の黄色いドラゴンは炎を吐いた。だが、2人ともびくともしない。


「大地の力を!」


 翼は魔法で地響きを起こした。5匹はダメージを受けた。1匹の赤いオオカミは倒れ、2匹の赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「食らえ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは豊に嚙みついた。だが豊はびくともしない。


「グルルル・・・」


 もう1匹の黄色いドラゴンは炎を吐いた。2人はダメージを受け、豊は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で豊を回復させた。


「食らえ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「グルルル・・・」


 残った黄色いドラゴンは翼に噛みついた。翼は少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で自分を回復させた。


「覚悟しろ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。だが、2人はびくともしない。


「とどめだ! 天の怒りを!」


 翼は魔法で雷を落とした。3匹は倒れた。


 気が付くともう日が暮れて、暗くなっている。いつまで見張りをしなければならないんだろう。


「まだ交代は来ないのかな?」

「我慢して待とう!」


 2人は次の見張りを気長に待っていた。だが、再び敵が襲い掛かってきた。2匹の黄色いドラゴンと2匹の赤いオオカミだ。


「天の怒りを!」


 翼は魔法で雷を落とした。4匹はダメージを受け、1匹の赤いオオカミは体がしびれた。


「覚悟しろ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 赤いオオカミは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。だが2人はびくともしない。


「ギャオー!」


 もう1匹の黄色いドラゴンは豊に噛みついた。豊は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で豊を回復させた。


「食らえ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。赤いオオカミは倒れた。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは豊に噛みついた。だが豊はびくともしない。


「ガオー!」


 もう1匹の黄色いドラゴンは翼に噛みついた。だが、翼はびくともしない。


「雪の力を!」


 翼は魔法で吹雪を起こした。3匹はダメージを受け、表情が苦しくなった。


「食らえ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「ギャオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。2人はダメージを受け、翼は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で自分を回復させた。


「覚悟しろ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「とどめだ! 天の怒りを!」


 翼は魔法で雷を落とした。残った赤いオオカミは倒れた。


「もう遅いわね」

「いつまで続くんだろう」


 2人はため息をついた。だがその時、敵が襲い掛かってきた。黄色いドラゴンと2匹の赤いオオカミと1つ目のヘビだ。


「雪の力を!」


 翼は魔法で吹雪を起こした。4匹はダメージを受け、1匹の赤いオオカミと1つ目のヘビは氷漬けになった。


「それっ!」


 豊は雷を帯びた剣で斬りつけた。赤いオオカミは表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 赤いオオカミは豊に噛みついた。だが、豊はびくともしない。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは雷を吐いた。だが、2人はびくともしない。


「大地の力を!」


 翼は魔法で地響きを起こした。4人はダメージを受けた。赤いオオカミは倒れ、残った赤いオオカミと1つ目のヘビは表情が苦しくなった。


「食らえ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンはびくともしない。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは雷を吐いた。2人はダメージを受け、豊は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で豊を回復させた。


「覚悟しろ!」


 豊は炎を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは翼に噛みついた。翼は表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 翼は魔法で自分を回復させた。


「えいっ!」


 豊は氷を帯びた剣で斬りつけた。黄色いドラゴンは倒れた。


「とどめだ! 星の力を!」


 翼は魔法で大量の隕石を落とした。残った2匹は倒れた。


 見張りは夜遅くまで続いた。見張りを終えて、2人は家に戻ってきた。2人とも疲れていた。どうしてこんなことをしなければならないんだろう。いつになったら襲い掛かってこなくなるんだろう。


「いつまでこんなことが続くのかな?」


 豊はため息をついた。どんなにやっても切りがない。どうすればいいんだろう。


「わからないけど頑張ろう」

「もっとみんなと遊びたいのに」


 豊は泣きそうになった。それを見て、翼は肩を叩いた。


「今は我慢だ。ごめんな」

「いいんだ。翼くんはちっとも悪くないから。いつか平和な日々が来ると信じてる」


 翼は少し笑顔を見せた。自分はちっとも悪くない。そう思うと、嬉しくなった。


「そうか」


 翼は部屋の置時計を見た。もう夜も遅い。もう寝る時間だ。


「今日はもう遅いな。おやすみ」

「おやすみー」


 翼は豊の部屋から出て行った。翼の表情はいつもと変わらない。いつもと変わらない夜だろうと思っていた。


 だが、豊は知らなかった。その夜が翼と過ごす最後の夜だとは。


 翼は1階にある自分の部屋に向かった。階段が暗い。翼は電気をつけた。誰もいない。静かだ。その下の廊下は暗い。


 翼はゆっくりと階段を降り、1階にやって来た。翼は廊下の電気をつけ、階段の電気を消そうとした。だが、玄関から誰かの声が聞こえる。


「翼・・・、翼・・・」


 父の声だ。もう寝ているはずなのに、何だろう。何か大変なことがあったんだろうか? 急遽町の見張りに呼ばれたんだろうか?


 翼は玄関を開け、外に出た。翼がこの家にいたのは、これが最後になった。その後、翼の姿を見た人はいないという。

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