裸の少年

ruckynumber

少年の秘密

なんで、なんでっ、こんな思いをしなくちゃいけないんだ。

恥ずかしいなんてもんじゃない。

これはもはやただの拷問だ。


「大将、なんで服着ちゃダメなんだよ!」

「そりゃお前、お前がいてこの店が有名になったら儲けられるじゃねえか。」

「それで、これって……。」


ラーメン屋の大将は僕のことなどに気かけず、朝からスープの仕込みにいそしんでいる。

確かに厨房に裸の男なんていたらそりゃこの店は人気になるだろうけど、やっぱり恥ずかしさが勝ってしまう。


「よおおー大将、朝ラーメン食べに来たよ。」

顔にじみの常連のおじさんが入ってきた。

名前はわからないが。















少年の秘密


「起」

少年は店主に言われ、素っ裸にされ厨房にいた。

客引きのためだそうだ。

「承」

さらに客引きはエスカレートし、店の外に出てお客さんに呼びかけろと言われ、ラーメン一杯と引き換えに言うことを聞いた。

「転」

商店街の人たちは少年を陰でくすくす笑ったりはせず、少し不思議そうな目で裸の少年を見ながら通り過ぎていく。

「結」

少年はそれが余計に恥ずかしくなり、とうとう店の二階、店主の居住所へと走り、自分の服を取りパンツをはいて泣きながら逃げ出してしまう。

「追加」

我々が開発したAIはついに恥ずかしさという感情まで持ちました。所長。

ああ、計画は極めて順調だ。


自分を少年だと思い込んでいた「モノ」は実はAIを搭載したロボット。

幼少期の記憶はすべて作り上げられた仮想の記憶だった。


2021/09/05 20:19

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