第30話 ラガドの街の孤児院

冒険者ギルドに登録した翌日。

本来であれば、今日ラガドの街から魔の森の屋敷に帰る予定だった。

しかし、昨日ヴァンダールヴルさんに間違った出発日程を伝えてしまった。

だから、もう1泊延泊することにした。


そして今日は孤児院に行く。


「Aランク冒険者のヨウイチロウさん、今日は孤児院に行くんですよね?」

朝から元気なペレネ―に呼び掛けられる。

昨日は帰ってきてから、俺がウォーレンさんとギルマスの連名での推薦を受けAランク冒険者になったことで大騒ぎだった。


「おはよう、ペレネ―。今日も案内頼めるかな?」

「任せてください!昨日のうちに孤児院に行って今日ヨウイチロウさんを連れていくことは伝えてあります!」

「おっ、わざわざありがとう。じゃあ、さっそく行くとしよう!」


「ここが孤児院だよ!」

孤児院は思ったよりも大きな施設だった。

俺たちが到着するとそこには1人の白髪の老女と銀髪緑眼の若いシスターがいた。


「お待ちしておりました、ユカワ・ヨウイチロウ様。わたくしはこの孤児院の院長、システィーナです。」

「私はこの孤児院のシスターのマリアです。」

「初めまして、魔法使いのユカワ・ヨウイチロウと申します。」

「システィーナさん、マリアさん、ヨウイチロウさんは昨日Aランク冒険者に登録したんだよ!それも警備隊の隊長のウォーレンさんとギルマスのルドルフさんの推薦で!」

「あらまあ、それはすごいことですね!」

システィーナさんもマリアさんも驚いている。


「今日伺った件についてはペレネ―がもう話しているようなので早速いろいろお聞きしたいのですが、かまいませんか?」

「そうでしたね。驚いている場合ではありません。この孤児院としては子供たちの働く場所を確保できるというのはとてもうれしいことなので、ぜひ協力させていただきたいと思っています。」

システィーナさんが答えた。

続いてマリアさんが切り出す。

「ユカワ様が一体どんな方なのかと思っていましたが、冒険者登録時に警備隊の隊長とギルマスから推薦を受けることができるほどのかたです。心配はなさそうですね。システィーナ院長?」

「そうですね。ランクもAランクということで、子供たちの安全を守るだけの実力はあるようです。」

「信用していただいてうれしい限りです。ですが、まだ子供たちの様子を見ていませんので、詳しい話はこの後でいかがですか?」

「そういたしましょう。」

システィーナ院長に連れ立たれて俺たちは孤児院の中に入っていった。

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