第27話 雑談

「ユカワ殿、今からすぐに冒険者ギルドに使いをやる。そしてギルドの幹部に来てもらうから、もう一度先ほどの魔法を見せてもらえないだろうか。」

「構いませんよ。ただ、同じ魔法だと退屈でしょうから、少し違う魔法にしてもいいですか?」

「退屈とかそういう問題ではないと思うのだが…とにかく、しばらく待っていただけるだろうか?」

「ええ。」


ウォーレン隊長は急いで北門に戻るといろいろ指示を出してきたようだ。


「小一時間もすれば冒険者ギルドの幹部が到着するはずだ。」

「ならしばらく雑談でもしましょうか?」

「そ、そうだな。」

「先ほどの魔法でいくつか使える魔法を見せましたが、ほかの属性の魔法も使えるんですよ。」

「そうなのか。逆に魔法でできないこととかあるのか?」

「あんまり思い当たりませんね。あ、でも、身体強化の魔法は使いませんね。」

「どういうことだ?身体強化の魔法は使い道が多そうだが。」

「実は、体術や剣術、弓術といった武術の心得が全くないのですよ。私には。」

「なるほど、魔法にかなり偏重しているのだな。だが、いざ近接戦になったらどうするんだ?魔法で身を守ることができるのか?」

「そうですね、ある程度の攻撃なら魔法で防ぐことも可能でしょう。ですが、それ以上に、自分の身を守るための手段としては、今私が装備しているマジックアイテムの効果が絶大でして。」

「見たところ大したアイテムは身に着けていないようだが、何を身につけているんだ?」

「とりあえず、このローブはドラゴンの素材で作られているものです。このローブを始め、私が身に着けているアイテムにはすべて隠ぺいの効果が施されているので、常人には見破ることができないでしょうね。」

「なんとも規格外なことだな。いったいあなたは何を目指すのか伺ってもよいだろうか?」

「私は、慈善事業とスライムの研究を進めたいと考えています。そのために多少の資金が必要になりますから、それを稼ぐために商売もしていこうと思っています。」

「慈善事業はわからなくはないがスライムの研究とはまた滑稽なことをお考えだな。」

「滑稽とよく言われますが、スライムはかなり応用可能性に竹たまものだと思うので、この研究もある程度進めば何かしらの成果を生むことでしょう。」

「あなたがそう言うのだ。きっと想像を絶するようなスライムが現れそうだな。」

「私も楽しみなのです。」

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