第10話 崩壊

4人組を始末して家に帰った俺は何食わぬ顔で学校に行き。

授業を受け。

昼休みに食事をとろうとしたら例の女子二人(ショーコとエミだったっけかな?)にまた絡まれ、一緒に弁当を喰っていたのだが――


「お前が安田孝仁だな。ちょっとツラ貸せや」


ピンクの五分刈り頭の、不細工な顔をしたゴリラみたいな身体つきの奴に絡まれる。

その背後には同じくゴリラっぽい相田おもらしくんと、その相田を介抱してた青髪が立っていた。


「安田に何の用?こいつ、うちらのチーム――ウィング・エッジの人間なんだけど?」


「なにぃ……」


ショーコの言葉に、ゴリラがちょっと困った顔になる。

反応からしてゴリラを追い払う魔除けになるっぽいが、なし崩し的にウィング・エッジなる謎のチームに引き込まれるのは宜しくない。


そもそも――


目の前のゴリラを追い払うのに誰かの手を借りる必要もないので、わざわざ借りを作る必要など皆無だ。


「そんなもんに入った覚えはないけど?」


「おいおい、状況分かってんのか?相手はクラッシャー郷田だぞ?大人しくうちのチームに入っとけって」


「クラッシャーねぇ……」


御大層な二つ名である。


「まあ確かに顔面はクラッシュしてるな」


「てめぇ!殺されてぇのか!!」


ちょっと冗談を言ったら、郷田が顏を真っ赤にする。

どうやら自分の顔が残念なのは理解している様だ。

勘違いしてないだけ偉いぞ。


「「うちらのチームだっつってんだろうが!」」


エミとショーコが暴言を吐いた郷田に凄む。

ここまで強気なのはよっぽどバック――ウィング・エッジの影響が大きいか、実は出鱈目に喧嘩が強いとかなのだろう。


まあどっちにせよ――


「いやチームには入らないぞ。そもそも、こんな雑魚相手に誰かの力なんて必要ないしな」


――2人に何かをして貰うつもりはない。


「おいおい、正気か?郷田はうちの学校じゃベスト5にはいるぐらいだぞ。相田瞬殺できても、こいつは次元がちげーぞ」


相田は結構ごつい体してるのだが、どうやら雑魚扱いの様だ。

まあ本当にやばい奴なら、失禁した時にクラス中から笑われたりはしないか。


しかしナンバー5か。

一見すごそうに聞こえなくもないが、学校って狭い範囲を考えると上に4人もいる時点で雑魚な気がしてならない。


だって四天王の選考漏れだぜ?

最弱の更に下とか鼻で笑うわ。


「まあそうだな……ボコボコにされたらその時は考えるわ」


絶対ないので、実質お断りしますだが。


「お前なぁ……」


「まああれだ……頑張れよ」


ショーコとエミはやれやれと言った感じで首を振る。


「へっ、馬鹿な奴だ。折角命拾いするチャンスだったってのによぉ」


それまで黙ってた相田が、ゴリラの後ろから嬉しそうに口を挟んで来る。

自分で勝てないからって親分呼ぶとか、流石お漏らし君だ。

小物っぷりが凄い。


「ふん、馬鹿が。付いて来な」


俺は弁当を蓋してカバンに直し、顔面崩壊ゴリラに黙ってついて行く。

別に教室でさっさと終わらせても良かったんだが、楽しいお昼の一時を邪魔したら悪いからな。


基本ヤンキーしかいないクラスメートにそんな気づかいが必要だったかは、まあアレだが。




―――――――


ここまで読まれて『面白かった。悪くなかった』と思われましたら是非ともフォローと星による評価の方宜しくお願いします。

星はスクロールした下にありますんで><

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る