第35章 DNA①

 俺は、潜水艇から出てきた二人を出迎えた。


「ジュン、大丈夫か?」

 そう言ったが、大丈夫でないのは見ていてわかる。生々しい傷痕が顔や手、腕に残っていて、美人の恋人の顔にも擦り傷があり、二人とも別人のようになっていた。


「ええ、大丈夫です」

 ジュンが気丈な声を返してきた。


「そうか、よかった……」 

 俺は、ありきたりの声を返した。


「おまえたちを救った、ゲバラはどうした?」

 潜水艇に眼をやりながら訊ねた。


「ゲバラは、竜司さんの仇を撃つって、1人で行きました」

 横からマリアが口を挟んできた。


「そうか……ジュン、ゲバラから、何も聞いていないようだな」


 ジュンの表情からして、何も聞いていないと感じ取った俺は、いま伝えるべきだと判断して、二人の関係について説明した。


 その説明を聞いていくうち、ジュンの表情がみるみる変わり、瞳を泳がせていた。



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