一旦終わり
自分の事を他人に語られるのは、恥ずかしいが青井さんはお構いなしに僕の事をペラペラと喋りだす。
「君の能力は、
「戦闘って、物騒だね」
「そう?放課後の教室で男の子に刀突き刺す女の子がいるぐらいなんだから戦闘ぐらいあるわよ」
「確かに...めっちゃ納得できた」
「でも...1つ問題がありましてですね?」
「なんでしょう?」
「どうやらこっちの君自信はその力を引き出せないようなんだよ」
「ハハハ」と気まずそうな笑い声を漏らす青井さん。
「ハハハ、じゃなくてもう少し詳しく」
「...赤羽くんさ、私がこの前教室で告白した後に言ったこと覚えてる?」
「えっと...確か」
その時は、確か告白してくる青井さんが刀を突き立てるもんだから、
「僕の事を好きなんだよね?」と質問し、
「「違うよ」って返したやつのこと?」
「そうそう、それそれ、私が好きなのは赤羽くんであって赤羽くんじゃないの」
とりあえずそのあと心臓刺されて、それどころじゃなかったから忘れてたけど、そもそも青井さんが僕にちょっかいかけて来るようになったきっかけがその意味分からないナゾナゾということなんだろうけど。
「そんな僕が二重人格みたいなこと言われてもさ」
「おっ。ピンポーン!正解」
「はい!?」
「思ったより早く分かって以外」みたいな顔してる青井さん。
「思ったより単純だったけど意味不明」みたいな顔してる僕。
「まぁ、私が知ってる限りでは君は少なくとも6歳の頃からもうすでに今の君とは違う人格をその身に有している」
僕が6歳の頃というと、父がなくなった頃だ。
その頃の記憶は、父が死んだショックのせいかほとんど覚えていない。
でも、その頃は気づいたら服が泥だらけになって公園にいたり、気づいたら自分の知らない友達が出来ていたり不思議な事があった時期。
それが僕のもう1つの人格があるのだとしたら辻褄が合う。
「......ん?「私の知ってる限り」ってそれじゃあ青井さんはその頃から僕の事を知ってたの?」
「まぁその時期に少し遊んだことがあって、正直その時私6歳にして初恋、一目惚れをしちゃったのよ。でもすぐ引っ越しちゃって3年前に戻ってきたの。それでたまたま高校入学式で貴方を見つけて運命だと思ったんだけど...」
勝手に長々と語り出したかと思えばなんか急に頬を風船みたいに膨らませて始めた。何かお怒りのご様子。
「僕、何かした?」
「だって、遠目で観察してみると人違いかと思うような豹変ぶりしてるし?私のことも覚えてなかったみたいだし?私があげた権能も使えてなかったみたいだし?」
ん?またもやボソッと重大な事をさりげなく溢していったような。
「青井さん、最後なんて?」
「私があげた権能使えてなかったみたいだし?」
「えっ...ちょっと待って、現状このめんどくさい状況に僕を誘う事にしか使われてないこの権能って青井さんが僕にくれたものなの?」
「あれ!?言ってなかった?」
そろそろ、どつくかこの女?
「当時6歳の頃から
常識の教育が足りなかったようだね。
今もある意味変わってないけどさ。
「でも、まさかその相手が別の人格を持ってるなんて、流石に分かんないよー」
「それは、まぁそうだね」
「でも私諦めずに二重人格について勉強したの。そしたら今の人格がピンチになるときほど出やすいって書いてあったから...」
今ここで、
つまり、青井さんは僕のもう1つの方の人格が好きでそれを引き出すために今の僕に恐怖を植え付けようとしてたと。
「どうからどう見てもはた迷惑なヤバイ人だね」
「でも権能の都合上私は赤羽くんを殺せないから今回は私が戦うと嘘ついて紫崎がやりにいくって寸法だったんだけど」
ひきつった笑顔で
「本気であっちの君怒らせちゃたみたいで紫崎ボコボコにされて、すぐ消えちゃった。テヘペロ」
雑な扱いされてる紫崎に同情を覚える。
「えっととりあえず青井さんはどうしたいの?」
「うーん、しばらく猛烈アタックは控えるよ。たまには引くのも大切だからね」
「そうしてもらえると助かるよ」
「それじゃあ今日は遅いし帰ろうか」
「そうだね」
そのあと、青井さんの能力で一瞬で家の前まで戻ってきて青井さんとは別れた。
これからも、なんだかんだあの恋する乙女の暴走に付き合うのかと思うが、
「それもそれで一興かな......あっ!紫崎忘れてた。まっ青井さんが迎えにいくか」
「...あっ!紫崎忘れてたわ。まっめんどくさいし、、、別にいっか!」
取り合えず、まだまだ僕たちの物語は続くんだろうけどしばらくはお休みだ。
僕の青い春は赤いようです。 りゅうのしっぽ @4268
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