第25話、頼むから、巻き込まないで、皆さんや
「さてと、見せてもらおうか樹海の外のモンスターの強さとやらを‥‥(なんてね)」
樹海を出てやってみたかったことを一つ達成した。──そう、それはモンスターと知り合いとの間にに割り込み強キャラ感を出すこと。決して赤い3倍の人の真似をしたかった訳では無い。だから、だから‥‥
「だから、そんな目(可哀想な物を見る目)で見ないで下さいアルテアさん!」
今度はブラッド達がギョッとしたような顔をする。それもその筈アルテアはまだ百メートル近く離れた河岸に立っていたのだから、ブラッド達から見ればユウジがいきなり現れたかと思うと良くて意味深(悪ければイタイ)発言をし、その直後にここには居ない知らない人に向かって話しかけ始めたのだから無理もない。
何かを言おうとしてブラッド達は再びギョッとした。今度は少し風が吹いたかと思うといつの間にか目の前に見知らぬ女の人の後ろ姿たからだ。しかもブラッドやカインだけでなく、フレイやユーナ達女性陣も見惚れてしまう程綺麗な人が急に現れたのだ。銀髪で背は女性にしては少し高いくらいで、何より背中から生えた純白の翼が綺麗で‥‥
「「「「つばさぁぁ?」」」」
思わずと言った感じで、ブラッド君達がハモる。彼らが、寸分違わずに突っ込めたのは日々鍛えてきたチームワークの賜物?なのかもしれない。
「「あっ、翼を隠しとく(隠せと言うの)忘れてた」」
こちらでもハモる
「ユ、ユウジ、さ、さっさと倒しちゃって‥‥」
「お、おう‥‥」
どうしよう、と言う二つの声はどちらも、今の今まで無視されていたアングボアの怒気によってかき消された。
「え、え〜い!こうなったら自棄じゃ〜い」
棍棒片手に突っ込む。強さを見せてもらおうかと言いつつも、全く見る様子もなく撲殺しに掛かるのはご愛嬌。精神的な余裕がゼロなのだ。
一匹目のアングボアを棍棒で殴る。
グシャッという音と共に血の華が咲く。
横合いからもう一匹が突っ込んでくる
「危な‥」
ブラッドが叫ぶが、
「大丈夫」
そう言いながら、スッと片手で突進を抑え込むと、同時に膝が跳ね上がり哀れ、アングボアの顎は寸分の抵抗すら許されず粉砕される。
後の一匹はと言うと、
仲間を一匹ブラッドに仕留められたのを根に持っていたのかブラッドに向けて突進してくる。
追いつくことはできなくも無いが、ここは
棍棒を振りかぶり、投げつける。
ブォン
猛烈な棍棒は、アングボアを叩きのめすのではなく〝切断〟する事で息の根を止めた。そして、尚も猛烈な勢いで吹っ飛んで行く。
取りに行くのクソ面倒だと思いつつもキャッチする為走り出そうとするが──そんな懸念?は
パシッ
「まったく、なんで回収する時のことを考えずに投げるんですか?」
アルテアが棍棒に追いつき、キャッチする事で解決した。
「ありがとう。それよりブラッド、大丈夫か?」
ブラッドの下に駆け寄る。
「ア、アニキ。ちょっとした捻挫です」
「回復魔法かけとくぞ」
そう言って回復魔法をかけようとすると、
「ユウジのアニキって回復魔法使えたんですか?」
「おう!アルテアに教えてもらった!」
「アルテア‥さんってそこにいる羽が生えた方ですよね?一体何処で‥‥」
「‥‥」
「‥‥私に羽‥‥ですか?生えてなんかいませんよ」
どうやって誤魔化そうか、考えていると外行きモードになったアルテアがそんなことを言い始める。立ち姿に何か違和感を感じる。それよりも今は翼のことだ。───流石に、その誤魔化し方には無理があるよ‥‥と思ったのだが、
「いや、生えてましたよね?」
「‥‥見ます?」
そう言ってアルテアがこちらへ背を向ける───その背中には純白の翼は無かった。
「‥‥あ、あれ?羽がない‥」
これには俺も半分驚く。どうして半分かと言うと、さっき感じた立ち姿の違和感の原因が解明されたからである。アルテアの翼は大きく、正面から見ても、翼が見えない事は無かった。だからさっき翼が見えなかったことになんとなく違和感を感じたのだ。
「「「いや、でもやっぱり羽ありましたよね?」」」
今度はブラッド君に加えてフレイにカインまでそう言い始めた。
「アニキも見たでしょう?」
ブラッドがそう続ける。
「そ、そんなことないよ‥‥」
「‥‥ジーっ‥‥」
ブラッド君がこっちを見つめてくる。俺も見つめ返す。
「‥‥ユウジのアニキがそう言うなら、無かったことにしておきます」
「‥‥そうか‥ありがとう」
「ところでユウジさん」
フレイが話しかけてきた。
「アルテアさん?の種族ってなんですか?」
「あぁ、アルテアは天使で使ry‥‥ナンデモナイヨ…普通の人じゃないかなー」
「「「「今、天使っていったよな(言いましたよね)‼︎」」」」
ブラッド達四人の突っ込みが野に響く。ここから誤魔化すのはもう不可能だろう。───やってしまった。話が変わったと思い油断していた。フレイ‥‥恐ろしい娘っ!
「はぁー、やってしまいましたか」
アルテアがため息を吐きながらそう言う──マジすいません。
「まぁ、いずれバレていたので良いとしますか」
そう言うと、
「確かに私には翼がありますよ。でも、秘密にしていてくださいね‥‥」
と、いつの間に顕現させていた翼を広げて見せた。
「「「「‥‥分かりました‥‥」」」」
あれ?、ブラッド君達ちょっとビビッてない?
「‥‥本当に羽があったんですね‥‥ところでユウジのアニキ、アルテアさんってどのぐらい強いんですか‥‥」
「あぁ、実はな‥‥『実演した方が早いでしょう』あ、いやじつえ‥‥うん、ソウダネ‥‥実際にやった方が早いよね、うん‥‥‥」
言おうとしたタイミングで遮られた。しかも、フルボッコです♪みたいな視線と共に。ヒィッという声を出さなかった俺を褒めて欲しいくらいだ。
「さぁ皆さん一斉にかかって来てください?全力で来てくださいね」
そう微笑むと軽くジャンプして、少し離れた位置に着地する。
「アニキ、ボコボコに来ます!」
「あんなことを言われたら本気でやらずにはいられないわね」
ブラッド君もフレイもやる気満々だ。後の二人も武器を構え闘志をみなぎらせる。──いつまでその異性の良さが続くかな?グフフフ
「なんでそんな気味の悪い笑みを浮かべているんですか‥‥勿論ユウジあなたも参加するのですよ?」
「えっ?、それじゃあブラッド達が可哀想じゃね?」
僅かな期待を込めてそう言うと、
「何をそんな寝ぼけた事を言ってるんですか?貴方はブラッドさん達の味方として戦うのですよ。さっきの失態を取り返してみてはどうです?」
期待は脆くも崩れ去った。お仕置き☆タイム(強制)の開催だ♪
「アニキやっちゃいましょう!」
ブラッド君が噛ませ犬の三下みたいなことを言ってる‥‥この後ボコられるパターンやんけ‥‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます