その封印が世界を守る為であっても

c.shun

第1話 いきなりそれはなくない⁈

 side???⁇

 豪奢な扉を開け書斎に入って来た少女は、机に座り何事か書いている顎髭を生やした5、60くらいの男を見つけ、周囲に誰もいないことを確認すると、

「召喚の準備が整いましたわ」

 そう告げた。

「これで、これで我が国は大陸統一を成し遂げられる」

 男も感慨深そうにそう応じる。

「召喚された人たちも可哀想に。使い捨てられるだけとは知らず、持て囃されるなんて」

 そう言うと少女はクスクスと笑う

「心にもないことを言うな、どこか楽しげに聞こえるぞ?」

 男もどこか愉しげに、ここにはいない誰かを蔑むような声で応じる。

「心外ですわ。楽しんでいる様に聞こえますか?お父様」

「まぁいい。上手くやれよ?兎も角これで我らの悲願が叶う。もう少しで我は世界を手にする」


 



 気がつくといつのまにか森の中にいた。見渡す限り木ばかり、マイナスイオンがたくさんありそうだと思ったが、そもそもマイナスイオンってどんな感じ?てゆうか、ここは何処?私は誰?いや、名前は流石に覚えてる。俺の名前は澤井 悠二だ。さっきまで高校生だったはず。購買を買いに教室から飛び出すどこにでもいる男子校生なはずだ‥‥

「ぞぉぉぉ」

 ん?なんだようるさいなぁ

ヒュン トン は?え?なんか飛んできた。近くの木に刺さったソレは紛れもない"矢"だった。え?死ぬ?

「うわっ」

 いきなり黒い物体が飛び出してきたかと思うと猛然とこちらへと向かって来る。

「いたぞぉぉぉ‼︎目撃者も殺せぇぇ‼︎」

 再度声がする。後ろを向くと弓を持った人が2,3人こっちに来る。見事に全員おっさんだ。って言ってる暇はなかった⁈矢を放ってくる。幸い森の中だったため矢は木に当たり当たらない。と思っていたら、

ドゴォーン


目の前が爆ぜた。


身体が吹き飛ばされる


炎の玉が目の前に落ちて来たのだ。ファイアーボール?ちょっと撃ってみたい。

ゴロゴロ転がりながら、なんてことを考えていると、

「あっ」

 急に地面がなくなった。アーイ キャーン フラァーーイ、って飛んでいるというより自由落下中。

 落ちていきながら思った。異世界に召喚するなら、せめてスタート地点は王城とか安全な場所にしてくれ。と 

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