それでもずっとキミが好き
ニホンカワウソ
第1話
「638番、面会だ」
その声と同時に重いドアが開く
山本サキラは刑務官に連れられ面会室までの道を歩きながら、自分が刑務所に入る事になった経緯を振り返っていた
2015年4月
大学に入学したばかりの俺は、これからどんな生活が始まるのか期待でいっぱいだった。
「おーいサキラ!今日バイト休みだろ?遊びに行こーぜ!」
瀬川那月が声をかけてきた
「えー」
「なんだよ。ノリ悪くね?」
「てか何でお前が俺のシフト知ってんだよ?」
「それはアレだよ。お前んとこの店長と仲良くなって教えて貰った」
那月は昔から誰とでもすぐ仲良くなれるやつだった。相手が人見知りだろうが那月の事を嫌ってようが関係なく、すぐに仲良くなってしまう。
明るくてお調子者で。でも実はかなりの寂しがり屋。そんな那月には人を虜にする魅力みたいな物があるんだと思う。
「…で?どこ行くんだよ?」
めんどくさそうに答える俺とは対称的に目を輝かせる那月。
「それがさ、実は同じ学部の女の子誘ったんだよ。だから女の子が喜びそうなとこ行こーぜ」
きっとこの時から俺達の運命の歯車は回り始めていたんだと思う。
もしあの時、那月の誘いを断っていれば俺は違う人生を歩んでいたのかな。犯罪者になる事もなかったのかな。
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