第9話 澤口望を知る人物

澤口望が通っていたと思われる高校の近くには、高校生が沢山いるおかげで、情報を聞きやすい。

周りを見渡せば、すぐそこに歩いている女子高生がいるのだから。


「すいません。ちょっといいですか?」


俺が声をかけた事で、いぶかしげな顔を浮かべながら、女子高生が俺の全身を見回す。

その表情には、何このおっさん?と言う感情が現れている。


「俺、こーゆー者です!」


名刺を差し出す。

そこにはジャーナリストであると言う事、そして、名前、電話番号などが書かれている。


「ーージャーナリスト?」


名刺に視線を落としていた彼女が、また顔を上げ、俺に視線を向けた。


「ジャーナリストの人が私に何の用ですか?」


「あの、この子の事知らないかな?」


俺は澤口望の写真を差し出した。

高校生は不思議そうに差し出された写真の中の人物に目をやる。

しばらく黙っていると、女子高生が言った。


「あ、のぞみじゃん?ーーおっさんが、どうして望の事を調べてんの?」


この女子高生、口が悪すぎる。

そう思ったがまぁ仕方ない。


「彼女が亡くなった事は、知ってるね?」


「うん。自殺したんでしょ?」


「俺、その現場を見ちゃったんだーーでも、彼女には死を匂わすような行動はなかったんだ。少しもーーだから、調べてる。どうしても自殺と思えなくて」


「そうなんだ。実は私も自殺には思えないんだよね?望は友達も多かったし、特に悩んでるような様子もなかった。それに成績だっていつも上位だった。それなのに自殺するなんて思えないよ」


「望さん、人に恨まれるような事はあったと思う?」


「それはない。望は人に恨まれるなんて、そんな子じゃないよ!」


彼女は本気で怒っている様子で、そう言い切った。


「そうか。じゃ、この子たちは見た事があるかな?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る