第2話 ラスカ・ハイの戦い
「敵の配置を教えて、パーナム」
全身に装甲をまとった人影が、ノイズの混じりのイヤフォンにささやいた。全身黒いスーツに覆われ、白いラインが足と腕の側面に施されている。背中には極小サイズに構築されたジェットエンジン付きの飛翔装置、そして体のいたるところに装備された武装はキラリと鈍い輝きを放っている。
「自立走行型Walk八体、補足追走型Aerial二十機。電脳サーバーにデータ転送済。赤い位置情報を撃墜せよ」
脳内にインストールされた位置情報が目の前に可視化される。思ったより敵の数が多く肩をすくめる人影。
「簡単に言ってくれるけど」
サイドの白いラインが金色に光り始めた。
「もう少しロボットをいたわって欲しいわね」
言い終わるや否や、ジェットエンジンを全開放して光の如き速さで飛び出した。そして最も近くにいたAerialを1機貫いた。指の先の装甲がまるで小刀のように怪しい光を放つ。音に反応して別のAerialと、人型のロボットが全速力で走ってきた。およそ自足120Kmほどの速度で人型のロボットを避けるため一旦空に逃げる。
「大人しくしてよ」
肩と腰の部分から展開した長さ1メートルの銃砲4門が敵にロックオンする。金色の光が足、そして腕から銃砲に移っていく。エネルギーが収束し、少しだけ空間が歪み始める。
「ロックオン!レーザービーム発射!!」
収束した光の束が眩い輝きを放ってただ敵を破壊するために飛ぶ。レーザービームは地面からこちらを伺うWalk3体の体と、応戦するべく上昇してきたAerial1体を一瞬で貫いた。それぞれが機能を停止し、爆発する。爆風によって視界が遮られた残りのWalkとAerialは、瞬間間を詰める全身装甲の人影によって次々と切り裂かれたのであった。
その勇ましい戦いの様子を、地下深くの研究室でモニター越しに見つめるメガネの男がいた。
「んんーーー!!今日もすんごい光線引いてるねぇ、ラスカにゃん」
満足げにそうつぶやくとしばらくにやついた表情をした後、男は視線を別のモニターに移した。そこには夥しい数の敵影が表示されていた。
「さて、いよいよやるしかないぞ、ラスカにゃん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます