繋がるコード無双!! 魔王を討伐した英雄だけど、王女様に求婚したらパーティから追放されました……えっ、更に国外追放ですか!?仕方がないので理想の奥さんを求めて婚活の旅に出ます。
第1話 アンタが「ん~、パッド使ってます?」なんて言うから
繋がるコード無双!! 魔王を討伐した英雄だけど、王女様に求婚したらパーティから追放されました……えっ、更に国外追放ですか!?仕方がないので理想の奥さんを求めて婚活の旅に出ます。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
第1話 アンタが「ん~、パッド使ってます?」なんて言うから
――消えた黒の英雄について、少しだけ話をしよう。
1年と少し前。とある平和な国に、凶悪な魔王が突如現れた。
何の予告もなく、その国家をたった1度の魔法で壊滅させると、今度は魔王は廃墟となった土地にダンジョンを作り始めた。
他の国が魔王の存在に気付いた時には、すでに巨大な城のようなダンジョンがそびえ立っていたそうだ。
当時、調査に
そうして魔王は、現れた日からたったひと月ほどで、巨大な魔族の国を築き上げてしまった。
次に魔王は配下とモンスターを使い、人間の国との戦争を開始した。
数え切れぬほどの人々を殺し、奪い、そして苦しめ続けた。
しかし人間たちの方も、ただ黙ってやられはしなかった。
魔王討伐を看板に掲げ、大小さまざまな国が協定を結び始めたのである。
人間、獣人、エルフやドワーフといった多種多様な種族が連合軍を結成。
他種族が一つにまとまった奇跡の軍隊が魔王軍とぶつかり、モンスターの大群を押し返し始めた。
これで、人類は救われる。
そんな希望を取り戻しかけていた。
――が、結果は惨敗。
直接戦場に出向いてきた魔王に、連合軍はあっさりと敗北を喫したのである。
連合軍はたった一戦で窮地に陥った。
互いが互いに敗戦の責任を負わせようと躍起になり、自軍が指揮を執ると言って勝手な行動をとり始めた。
統制が取れなくなれば連合軍なぞ、ただの烏合の衆である。
急ごしらえの協定は呆気なく瓦解し、
より力の無い国から次々と消滅していく中。
大陸最大の規模を誇るサウスレイク王国は、最後の手段を切ることにした。
それは神をも
多大な
召喚は成功し、計5名の少年少女が現れた。
民衆は今度こそ世界は救われると安堵し、戦況を見守ることにした。
しかし、現れた勇者たちは魔王軍と対峙し――あろうことか逃げ出した。
彼らにどんな理由があったのかは分からないが、戦場から煙のように消えてしまったのだ。
頼みの
民は絶望し、いよいよ終わりの日も近いと思われた――が。
ある日、その魔王が打ち倒されたという信じがたい
――いったい誰が?
逃げた勇者が戻り、役目を果たしたのか?
誰がやったにせよ、これ以上のない朗報である。当然、王城は歓喜の声で沸き立った。
しかし残念ながら、それを成したのは勇者ではなかった。
魔王を討伐したのは、それまで全くの無名だった冒険者パーティ。それも、16歳の少年少女で結成された新人のパーティだったのである。
王も自分の耳を疑ったが、それは
彼らは誰も倒せなかった魔王を見事滅ぼし、その亡骸を母国であるサウスレイク王国へと持ち帰ったのだ。
魔王討伐のニュースは大陸全土へと瞬く間に広まった。
それと同時に、偉業を成した彼らは世界を救った英雄として誰しもが知ることとなる。
後にパーティ名を『
魔王攻略のカギとなったのは、パーティの後衛を担当していたネクトという青年だった。
父親は詐欺師、母親は役者という異色のジョブを持つ両親から生まれたネクト。彼は幼い頃から、その両親が原因で周囲から距離を置かれていた。
両親は周囲の人間を騙し、詐欺で小銭を稼いでいたので、それも致し方の無い話なのだが……。
そんな理由もあり、彼は友達もロクに居ない、根っからの陰キャだった。
だがしかし、彼が持っていたジョブの職能は破格の性能を誇っていたのである。
彼のジョブは、コード使い。
それはあらゆる存在の魂に穴をあけ、自身のコードを繋げるという特殊な能力。
なんと、そのコードに繋がれた者は能力やパワーを共有することができるという、まさにチートのような能力であったのだ。
ノーバディのメンバーは彼のスキルを使い、敵の力を奪い取った。
さらに奪い取った力を仲間たちでシェアすることで、強大な力を持つ魔王を討伐できたのだ。
しかしその事実を知っているのは、限られた人間のみ。
その理由は、職能発動の条件にあるのだが……。
◇
「すまない、ネクト。悪いんだが、このノーバディに君をこれ以上在籍させることは、もうできそうにないんだ……」
ある日、僕はノーバディのリーダーであるクリスタに呼び出された。
彼は剣王のジョブをもつ、まさに神に選ばれし存在。どんなにナマクラでも、彼に剣を持たせたら右に出る者は居ないとされている。
魔王討伐後となった今では、誰しもが憧れる男だ。
そんな彼に僕は開口一番、追放宣言をされてしまった。
「ど、どうして!! 僕のお陰で魔王を討伐できたんじゃないか!」
「それは、そうなんだが……!!」
ノーバディが根城にしている、行きつけの酒場。
そこの一角を貸し切って、いつものメンバーが集まっていた。
クリスタの隣りには、僕の幼馴染であり天敵でもある
彼女は目をキッと釣り上げて、怖い顔で僕を怒鳴りつけた。
「王城でやった戦勝パーティで、アンタが何をしたか。まさか忘れたとは言わせないわよ?」
「えっ!? 僕、何かしたっけ……」
身に覚えのないことで怒られ、僕は涙目になる。
ノエルはいつもこうやって僕を責め立てるから、ちょっと苦手なんだよな……。
「はぁ~? アンタ酒に弱いくせに、調子に乗ってワインを飲んだわよねぇ? それで酔っ払ったアンタは、たまたま話しかけてきた王女様に能力を使ったでしょう!!」
「そ、それは!! だって王女様が僕の能力を見たいって言うから……」
英雄である僕をキラキラした目で見ながら「是非お願いします」って言われたら、そんなの断れるわけがないじゃないか!!
「だからって王女様のおっぱいなんて揉んだら、怒られるに決まってるでしょうがぁああ!!」
「痛いっ!?」
ノエルは杖で僕の頭を叩くと、パコーンと小気味良い音が鳴った。
こんな酷い扱いをされているのに、クリスタは助けようともしない。
それどころか、苦笑いを浮かべて優雅にワインを飲んでいる。
他の皆も眺めているだけで、誰も庇ってくれやしない。
「――しょうがないじゃないか。
僕のスキルの発動条件。
それはコードを繋げるために、必ず僕がその物体に直接触れるということ。
だけどどこにコードを繋げる穴が出てくるかは、能力者である僕にも分からない。王女様の場合は偶然、胸だっただけだ。
だ、だから僕は悪くなんかないぞ!?
王女様が実演して欲しいと言ったから、僕は仕方なく胸を触ったんだ!!
「あまつさえアンタはそ、その……揉みしだいたでしょうがぁああ!! しかも、両サイド!!」
「だ、だって下手に遠慮して失敗したらどうするんだよ!!」
しっかり握って発動させようと思ったら、王女様、パッドで胸の大きさを誤魔化していたから中々上手くいかなかったんだ……。
それに片方だけじゃバランスが悪いかなって、僕なりに気を利かせただけなのに!!
「しかも『責任を取るので僕と結婚してください』ですってぇ!? ふっざけんじゃないわよ。アンタ頭おかしいんじゃないの!?」
「それは責任を取れって王様が言うから……」
「そういう意味で言ったんじゃないわよぉおお~!!」
えぇ!? そんな分かりにくい言い方をする方が悪いじゃないか!!
言い訳をしようとしたところに、クリスタが言葉を被せてくる。
「申し訳ないが、王から『これ以上あのHENTAIがこの王国に居るというだけで、愛娘に嫌われそうなんだ。幸いにも世界は平和になったことだし、ここはクリスタ君から、彼を丁重に追い出してはくれないか』とのお言葉を
「そ、そんなぁ……!?」
同じ男から見てもルックスも性格も完ペキなクリスタが、心から申し訳なさそうにしている。
彼は陰キャな僕にも優しく接してくれた、数少ない友人だ。自己中なノエルはともかく、彼を困らせるのは僕としても本意ではない。
「わ、分かったよ。大人しく僕がノーバディを抜けるよ……」
僕のその言葉を聞いて、クリスタはホッとした様子を浮かべた。
そしてもう一度、「申し訳ない」と頭を下げた。
いや、悪いのは僕の方だ。僕のやらかしでリーダーを困らせてしまったのだから。
彼も命を預け合った僕を追放するのは断腸の思いだっただろう。
……はぁ、仕方がない。みんなと離れるのは寂しいけれど、同じこの王都に住んでいればいつでも会えるだろうし。
なんといっても、僕も国を救った英雄の一人だしね。
きっと報酬もたんまり出るだろうし、あとの人生はマッタリと過ごすことにしよう。
そんな事を考えていたら、いつもの爽やかスマイルに戻ったクリスタが衝撃のセリフを僕に言い放った。
「それじゃあ、ネクト。この国を去ってからも、どうか達者でな……!!」
……えっ? 僕、国からも追放されんの!?
――――――――――――――
新連載始めました!
ギャグ・コメディ調で頭空っぽで読める作品を目指しております。
フォローして気軽に読んでくださると嬉しいです!><
毎日夜19~21時ごろに投稿予定。
本日は第3話まで予約投稿済みです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます