8日目 9月11日 「悪役は主人公よりも魅力的に」
はい、8日目を迎えた神崎です。
早速ですが、本編に入っていきましょう。
今回のテーマは悪役です。ボスキャラと言ってもいいです。古今東西、どんな物語にも存在するヒール。彼ら彼女らを主人公よりも魅力的にすることで得られるメリット、利点について書いていきます。
今回のテーマを見て、キャラクターを魅力的にすることは当然として、なぜに主人公よりも? と考える人は多かったと思います。
主人公よりも目立たせるのは、物語として破綻してないか?
主人公と決めたキャラクターがいるのなら、そいつに一番力を入れるべきでは?
そんな意見もあるでしょう。
まあまあ、そこは落ち着いて、この神崎の見聞きした話を少しでもいいので、暇つぶしにでも読んでみてくださいよ。
では、なぜ主人公よりも魅力的にするのか目立たせるべきなのか。
それはズバリ、
「主人公を魅力的にする存在だから」
です。
いや、何言うてんの。さっき主人公よりもヒールを魅力的にしろって言ったやないかい。初っ端から矛盾しとるで。
いえいえ、違います。
優先度の話はしてませんよ、と。
どんなキャラクターも魅力的に書くのは当たり前です。物語を面白くするピースですからね。神崎が言いたいのは、そういうことじゃないんです。
ヒールを魅力的にする=主人公がより魅力的になる。この図式を念頭に入れつつ、キャラデザをして欲しいということです。
そうです。
結局は主人公を魅力的にするための一つの工程として、ヒールを魅力的に書いて欲しいんですよ。
どういうことかというと……。
少し脱線しますが、根本的な部分では繋がっていることなので、お付き合いください。
物語の中で表面的なストーリーを楽しむ読者がいる半面、こういう読者もいるのではないでしょうかーー主人公の成長に注目して読んでいる。主人公の成長が楽しみ、と。
物語の中で様々なことを経験し、心や身体が成長していくのが主人公というポジションです。それによって、読者に没入感と非日常へのカタルシスを生みます。
言い換えれば、主人公が成長するにつれて魅力が上がっていくということです。
では、どのようにして主人公を魅力的にするのかーー。
一般的には挫折を味合わせる、主人公イジメという方法があります。主人公に心的外傷を与えることで、それを乗り越えさせ、半ば強制的に成長させるというものです。
次に、主人公ではなく、それに近しい人物に試練を与えて、間接的に成長を促すというものです。ヒロインやライバル、家族、恩師など、彼ら彼女らが苦難を乗り越える姿を見て、主人公も共に成長するというパターンです。
いずれも主人公の目の前に壁(試練)を設けることで成長を促します。
じゃあ、壁とはなんなのか。
ここで言う壁とは、大きな事件や立ち向かうべき相手のことです。つまりは、ヒール。
もうわかりますね。
悪役を魅力的にすればするほど、それを乗り越えた先に立つ主人公が、より魅力的に見えるということです。
強大な敵を倒すという爽快感は、いつの時代も老若男女に強いカタルシスを与えます。
もちろん、悪役は人間に限る必要はありません。主人公に立ちはだかる壁になればいいんです。事件、課題、恋愛、夢、様々なものに壁は存在します。
え、でも悪役ばかり目立って主人公が薄味だったら、作品が弱くならない?
大丈夫です。
主人公は物語が進むに連れて魅力的になるものなんですから。
最初から属性ありありの何でも出来る主人公に、没入感を覚えられますか?
もちろん、最低限の個性は必要です。
しかし、ヒールよりは抑えめに書いた方がいい、という話です。なにも、無気力系キャラの主人公を作れとは言ってません。
少し前に流行った俺つええ小説を例外として、ほとんどの作品に登場する主人公というものは、不完全な状態です。一つや二つ、あるいは沢山の欠点を持っています。
しかし、だからこそ、読み進めていく毎に愛着が湧き、読み続けたいなと思えるように読者を引き込むことができるんです。
まあさすがに、大賞に応募する作品は、提出する文字数の中で多少なり成長させる必要がありますが……。
ポイントをまとめると、
①ヒールを魅力的にするのは、主人公を魅力的にすることに繋がる。
②物語序盤の主人公が少しばかり薄味でも、ヒールを乗り越えていく過程で徐々に魅力的になっていく。その工程を踏むことで、乗り越えた先の爆発力に繋がる。
③しかし、大賞などに応募する作品は、提出する文字数内で多少なりの成長を遂げなければならない。故に、困難をいくつか用意し乗り越えさせる必要がある。
ーーということです。
以上、主人公よりも悪役(立ち塞がる壁)を魅力的に書くことで、主人公が魅力的になるという持論でした。
次回は③「説明ばかりの文体はNG」です。
少し長くなりましたが、これにて御免。
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