第7話 その男の名はシングル
万象と號が戦っている。
遠くからそれを見つめて走る男がいた。
「ワイも行かなくては…。」
あれから3時間前…。
"ワイ"はある4階建ての古いマンションの2階の"23"号室にノックをかけた。
そしてドアからワイと同じぐらいの身長の男性が出てきた。
「はい…。どちら様ですか。あっ。」
張りがない声が聴こえた。
「よぉ。ダブル。久しぶり!」
「りゅ。竜水。」
「そのさ、今来て何だけど頼みが…。」
「ごめん。無理。」
「え、まだ内容を一つもいってないよ?」
「それでも無理。"僕"に構わないでほしい。僕が退学した理由知ってるんでしょ。」
「知ってるけど、それは別にダブルは悪くないよ。もう1人がやらかした事だ。頼む戻ってきてくれないかな。」
「戻る方法すらないよ僕には…。」
「うーん。んじゃ、体育祭で良い評価を取ったら、退学免除ってのは?」
ドアの影からやる気のない声が聞こえた。
月影先生だ。
どうやらワイの後ろを追っていたらしい。
「先生。良いんですか?」
「まぁ内容によっては…。の話だけどな。出るのと出ないじゃ、、大違いだよな。」
「そうだよ!出よう!」
「む、無理だよ。体育祭中にもし、"俺"が出てきたら。危ないよ。」
「その時は先生が対処する。安心しろ。」
そう言って竜水は先生の後押しのおかげでダブルを仲間にすることができた。
「よし、とりあえず学校に行こう。」
歩いて15分が過ぎた頃だった。
「せ、先生…。」
胸を抑えてダブルが苦しそうに言った。
「ん?どした!大丈夫か!」
月影がダブルの方に近づく。
「"俺"が…。」
「まさかこのタイミングでか。竜水!!」
「はい!」
「先に万象のところへ行ってろ。俺はダブルを見とく。」
「分かりました!月影先生頼みました!」
そう言って竜水は走って万象がいる学校へと走った。
「先生…。後は頼みます…。」
苦しそうにダブルが言う。
「了解。んじゃ行っておいで。」
「は…い。」
そして、ダブルは気を失いその場で倒れた。
「あいつに会うのは久しぶりだな。」
そう月影先生が呟いた時だった。
さっきまで倒れてた彼が起き上がる。
「ん、あぁ。久しぶりだなぁ。このシャバの空気はよぉ。ん?おお!月影先生じゃないですかぁ。」
容姿は変わってはいないが声は低くそして張りがある。
変わったのは声だけじゃない。
体格が一回りでかくなり、何より目が赤くひかっている。
「黙れ。シングル!!」
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