【詩集】やがて水になるまで
雨伽詩音
第1話やがて水になるまで
嘘をついてまで募る想いを押し殺して
海月になりたいと云うと
あなたはイルカになりたいと
なんでもないように笑う
なにものにも縛られない自由と
光に満ちた知性とを
その両手に抱いて
柔和なほほえみを浮かべるあなたが
あまりにも遠くて
いいえ
私は海月になりたいのではなく
ただ無になりたいのだと
流されてゆく群像の中の
もの云わぬままさまよう
無明の無知の一尾になって
泡のように消えてしまいたいのだと
あなたに告げられればよかった
やさしさを遠ざけ
灯台の光から逃れて
ふわふわとただよって
やがて水と同質になるまで旅はつづくのに
身体は弱ってゆくばかり
あなたの見上げる空は
知らない色をしている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます