第45話 見学(利奈・瞳)②
「ブラトップだと通勤の時の服選びが難しいんですけど、どうしたらいいですか?」
目下の綾の最大の悩みだ。
「特に春と秋よね。」
「春は大丈夫じゃないですか?夏物の上に一枚羽織っても季節を先取りしたおしゃれで通りますし。」
「瞳ちゃんほど若くないから寒いよー。」
「ワンピースに拘らずにボトムスを吊ってみたら?」
「20代でも大丈夫ですか?」
「綾ちゃん童顔だから大丈夫だよー。ここのおじさんたちはわからないし。」
姦しくなってきたところで丈太郎が入ってきた。
「おはよう。早くから感心だな。」
3人は立ち上がって
「「「おはようございます。」」」
「「今日はよろしくお願いします。」」
と挨拶した。
「日向に聞いていると思うが、中に入る前に何か質問はあるか?」
「いいえ、綾ちゃんから聞いています。」
「それじゃあ入ろうか。君たちのことは日向に任せてあるから指示に従ってくれ。」
と言って暖簾を潜る丈太郎に続いて3人は女湯側の暖簾を潜る。
衝立と脱衣籠が目に入るが、3個に増えているそれの中の1つには既に脱いだ服が入っていた。
「先生ー。誰か入っているんですかー。」
綾が衝立越しに声をかけると、
「川田ー。居るのか?」
という丈太郎の声に
「薫ちゃん、おはよー。」
と返ってきた。
「「「ユミちゃん(さん)?」」」
声から少し遅れて全裸のユミが更衣室に入って来て丈太郎の方に向かう。
どこも隠していない。
「姫におはようをしてたんだよー。」
「いい加減、妹離れしてくれよ。今日は2人見学に入るから定員オーバーだ。出て行ってくれ。」
ユミは衝立から顔だけ出して、
「あー。利奈ちゃん瞳ちゃん綾ちゃんもおはよー。」
「おはようございます。」
返事ができたのは綾だけだった。
利奈と瞳は突然の全裸のユミの登場に固まっている。
「薫ちゃん、ハーレムだねー。」
「いらんこと言ってないで服着て帰れ。昼には姫を返してやるから隣で待ってろ。」
「はーい。」
と言って3人の方に回ってくるユミに、綾は
「ずっと居たんですか?」
と訊ねた。
「まさかー。1時間ぐらいだよー。」
「私も姫ちゃんに会いたいです!」
やっと再起動した瞳がアピールする。
「多分、この後会えるよー。お友達になってあげてね。」
ユミは上機嫌だ。
「ユミちゃんスタイルいいですね。いつも白衣だからわかりませんでしたよ。」
利奈も再起動する。
「ありがとー。あ、脱衣籠取っちゃってるね。じゃあ頑張ってねー。」
ユミは全裸に白衣を羽織ると、服を抱えて出て行った。
「「「ユミちゃん(さん)?」」」
今度は3人が固まった。
シャワーを浴び終えた丈太郎が、
「先に入ってるから頼むぞ日向。」
と言って処置室に入ったので、3人はやっと服を脱ぎ始めた。
「びっくりしたねー。」
「本当に裸なんですね。」
「ユミさんは姫ちゃん命ですからねー。」
話しながら脱いでゆく。
丈太郎がいなくなったので風呂の脱衣所のように気楽だ。
3人ともワンピースにブラトップ、ノーパンなので、すぐに全裸になってシャワーに移動する。
「シャワーとシャンプーは普通でいいです。利奈さんは編み込みを解いてくださいね。髪は濡れたまま処置室に入ります。」
と言って、綾はボディーシャンプーを手にとると、丈太郎が使っていた方のシャワーに移動した。
利奈と瞳は1つのシャワーヘッドを交互に使いながらシャワーを浴びる。
「瞳、あなた生えてないの?」
利奈が気付いた。
「恥ずかしいので剃っちゃったんです。ユミちゃんとお揃いです。」
嬉しかったようだ。
丸見えなのとどっちが恥ずかしいだろう?と、利奈は昨夜整えた自分の陰毛を見て思った。
「別に剃らなくてもいいんですよ。」
とシャンプーを取りに来た綾が言う。
利奈より縮れの少ない陰毛がしっかり生えている。
シャンプーを始める頃になると、裸で丈太郎の前に出る時が近付いている自覚が出てきて2人は無口になる。
髪の短い瞳の方が先にシャンプーが終わったので、綾がチェックする。
「手を出して。爪よし、髪よし。タンポンは入れてないね。」
「入れてません。見せないとダメですか?」
「見ないよー。」
「先に入ってる?」
「みんな一緒がいいです。」
利奈を待つ間に、綾は簪で髪を纏める。
「綾さんかっこいいです!」
瞳には好評だ。
「お待たせー。」
利奈のシャンプーも終わったので、同様にチェックして、綾に続いて2人は処置室に入った。
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