信用は紙束より強し

シヨゥ

第1話

 お金はあるにこしたことはない。だからといって我慢してまでため込むものではないと思う。

 お金を貯めることによろこびを覚える人がいる。その気持ちはわかる。たしかに銀行通帳の残額がふえていったらうれしい。

 だけれども、銀行通帳の残額がふえる代わりに生活環境が改善していなかったとしたらどうだろう。心が満たされているようで満たされない。そんな不思議な感覚を味わうんじゃんないだろうか。

 

 がんばって働いた。それが頭でも、体でも使えば疲れるものだ。その対価としてもらえるのがお金だ。ただお金がもらえたとしても何も手に入っていないようなものだと思う。

 お金で疲れは取れるだろうか。紙幣は汗を拭くぐらいにしか使えないだろう。硬貨は足ツボを押すぐらいだろうか。ようするにお金で疲れは取れないのだ。

 じゃあなんで働いたらお金がもらえるのか。それはお金がなににでも交換できるからだ。

 疲れたらお金を使って疲れをとる。ワンクッション挟むことになるがそれが正しい。つまりはお金は使わなければなんの価値もないのだ。いや価値がないというのは言い過ぎか。交換対象と見てもらえる信用ぐらいはある。その信用を力として使ってこそお金に価値は生まれるのだ。


 そんなことをとあるポスターを見つけて考えてしまった。

「お金を使って生活環境を改善しよう」

 そんな無粋なキャッチコピーがおどり、

「札束でベッドを作るより安上がり」

 畳みかけるような無粋なワードがでかでかと印字されている。真実ではあるがなんだかなと思ってしまう家具屋のポスターだ。そしてそのポスター通りの行動をしにやってきた自分が少し恥ずかしくなる。それでもせっかく来たのだから楽しまなければ。家具なんて選ぶのは何年ぶりだろうか。

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信用は紙束より強し シヨゥ @Shiyoxu

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