「おまたせ」

D.Vader

「おまたせ」

声劇用台本

ツイキャス等で上演される場合の許可等は特に必要ございません。

ご自由にご利用ください。話の流れを大幅に変えるアドリブ等はご遠慮頂けたらと思います。

著作権に関しては放棄しておりません。

上演される場合作者に教えて貰えると泣いて喜びますっ(@darthvader1981)


少女♀︎:

医者(不問):

キャスター(不問):

???(不問):

キャスターと???は兼役でも大丈夫です。



とある病院の一室。テレビからニュースがながれている。

キャスター「次のニュースです。未だ緊迫している状況の続くサラジア公国内の内戦についてですが反政府勢力の代表より非公式ではありますが国内の研究施設を急襲、政府軍に対し決定的な攻撃を行うと声明が発表された模様です。これに対しサラジア政府も断固とした対応をとるとしており両者の間の緊迫の度は増しております。」


少女「…お腹すいたな。」


少女М「おもしろいテレビもやってないし恐い顔しながら話すテレビの人も何言ってるわからないや。でもお母さんとお父さんはよその国で大変なことがおきてるって教えてくれた」


病室の扉が開き医者が入ってくる。


医者「こんにちは、調子はどうかな??また今度の月曜日に検査があるからもし痛いところとかあったら教えてね?」


少女「うん!痛いところはないよ!先生っ」

少女М「わたしはずっとこの病院にいる。お母さんはわたしの体の悪いところをなおすためだよって言ってくれるけどわたしは早くお家に帰りたいな。お友達とも遊びたいしお父さんお母さんともいっぱい遊びたい。でももうすぐクリスマスだしその時はお家に帰れるかもしれないって先生も言ってたから楽しみなの。」


医者「そうか!それは良かった!夜とか痛くなったり気持ち悪くなったらいつでも看護婦さんか先生を呼んでね!」


少女「うん!…先生!もし検査が大丈夫なら今度のクリスマスはお家でみんなで遊べるんだよね?」


医者「うん、そうだね!だから今はゆっくり休んでちゃんとご飯も食べて体の悪いところ治さないとね。」


少女「はーい!ちゃんと言うこときくもん!!」


少女М「いっつも先生はやさしくしてくれてわたしは先生のこともだいすき、でも今日はもっとだいすきなお母さんとお父さんも来てくれるって言ってたから楽しみだな!」


しばらく病室で少女の様子をみていた医者は手を振ると回診に戻っていった。


(間)


医者「こんにちは!お父さんとお母さん来てくれたよ!!」


少女М「お父さんとお母さんはたくさんのお土産を持ってきてくれた。私の大好きなお人形さんの新しいお洋服や絵本も!!」


嬉しそうに人形で遊ぶ少女と母親。医者はその間父親を病室の外に呼び出す。


医者「娘さんの様態なんですが来週の検査結果次第では外泊許可はお出しできます。ですがドナーの方は問い合わせているのですが今のところ返事は変わらずで…」


少女「あれ??お父さんは?」


少女М「いつのまにかお父さんと先生がいない。お母さんは笑って外でお話してるんだよって言ってるけどお父さんとも一緒に遊びたいのにな。」


しばらくすると病室に父親が戻ってくる


少女М「ちょっと寂しそうに笑ってるお父さん。どうしたのかな?大丈夫かな?でもそのあとはお父さんとお母さんとたくさん遊んでもらった。楽しいな!お家に帰ったら新しいお洋服を着せてお人形のお家で遊ぼう。」


医者「お父さん、お母さん…そろそろ面会のお時間が…」


少女М「夕方になるとお父さんとお母さんは帰っちゃった…まだ遊びたいけど悪いところ治すにはたくさん休まなきゃだから我慢だね。はやくクリスマスにならないかな!!」


(間)


キャスター「緊張状態の続くサラジア公国情勢ですが昨日反政府勢力が行った自爆テロにより多数の死傷者が出ている模様です。使用された爆弾にはウィルスのようなものも含まれバイオテロの様相を呈しています。これに対し政府軍は陸空の大規模の軍事行動に移ると発表しております。」


医者「こんにちは、難しいテレビ見てるんだね!」


少女「何いってるかわかんないんだ…さっき看護婦さんがテレビつけてくれて」

医者「そうなんだ!」

少女「…ねぇ先生、お母さんが言ってたけど大変な事がおきてるんでしょ??わたしが大きくなった時こんな大変な事終わってるかな?」

医者「ん?そうだねぇ…終わってるといいね。」

少女「わたしね大きくなったらお洋服作る人になりたいの!!だから大変な事終わってみんなが遊ぶ時に着るお洋服を作ってみんなにプレゼントしてあげたいの!」


医者「それは素敵だね!!みんな喜んでくれるよ!!…じゃ早く悪いところ治るように先生もがんばるからね!」

少女「ありがとう!!先生っ!わたしもがんばるっ」


少女М「たくさんきれいなお洋服つくってお母さんにもプレゼントしてあげよう!お父さんにはかっこいい服がいいかな。早くおおきくなりたいなぁ!!」

少女「先生の分もつくってあげるから楽しみにしててね!」

医者「ありがとう!!楽しみにしているよ!!…ん?電話?わかったすぐ行く。」


(間)


少女М「今日は朝からお父さんとお母さんがきてくれてうれしいな。なんか大事な話があるって先生が言ってたけど…どうしたんだろう。二人とも先生の所に行っちゃったけど…わたしもちょっといってみよう!」


こっそりと病室を抜け出す少女。別室で両親と話す医者を見つけるとこっそりと中を覗き込む。


医者「先日の検査結果ですが数値的には問題はないのですが…やはりドナーが見つからないと現状ではこちらとしても対応は今まで通り延命処置のみとなってしまいます…」


医者「はい…クリスマスの外出許可はお出しできますので、そこはご安心いただいて。ですがこのままですと来年は…しかし娘さんは驚異的な生命力をお持ちです。本来であれば病気の進行ももっと早いはずなんです。なので我々としても最善を尽くしますので!!」


少女М「…お母さんが泣いてる。どうしたのかな?どこか痛いのかな…あ‼お話し終わったみたいだ!!戻らなきゃ!!」


部屋に小走りで戻ってくる少女。


少女М「えっと…ちゃんといい子にしてたって言わないとね!あ、テレビテレビ…よいしょっと。」


キャスター「…で速報が入りました。昨日行われた反政府勢力のバイオテロに対し政府軍は戦術核により報復攻撃を行いました。反政府勢力の拠点といわれている都市に対し戦術核兵器により攻撃を行い国連ではサラジア政府に対し遺憾の意を表明しています。」


部屋に入ってくる医者と両親。


医者「おや、いい子にしてたかな?ごめんねお父さんとお母さんと大事な話は終わったから!…ではお大事に。」


少女М「お母さん大丈夫そうだ!よかった!それと今度のクリスマスはお家に帰っていいって先生が言ってくれたみたい!いい子にしててよかった。その日は遅くまでお父さんもお母さんもいてくれた。」


少女「あ!見て見て!雪だよ!!」


少女М「今度のクリスマスまでに積もってみんなで雪だるま作れるかなぁ!まだもう少し寝なきゃクリスマスは来ないから積もってくれるといいなぁ!でもたくさん雪積もっちゃったらサンタさんも大変かっ」



そのあとも雪が止むことはなかった。月の光に照らされて光る降り積もる雪を見ながら少女はその夜眠りについた。


(間)


慌ててどこかに電話をしている医者。


医者「っ!!もしもし、朝早くからすいません。大至急お知らせしようと思いまして。…えぇ、ドナーが見つかったと先ほどこちらに連絡が、…はい!…近日中に移植手術の方はできるそうなので手続きの方をお願いしたく…」


少女М「今日はいつもより早く起こされちゃった…まだ眠いのにな。もうちょっと寝ちゃおうかと思ったらお父さんとお母さんが来てくれた!一緒に朝ごはんたべられるかな!」


少女「っ!?どうしたのお父さん!お母さん!!」


少女М「部屋に入ってきたらお父さんもお母さんも泣いてる…でも泣きながら笑ってるの。おかしいの二人とも。お母さんは急に抱き着いてくるしお父さんも泣きながら笑ってわたしを見てる。なんだか喜んでるみたい。だからなんだかわたしもうれしくなちゃった。」


医者「よかったね!体の悪いところを治してくれるお薬が見つかったんだよ!だからもう少し頑張ろうね!!」


少女「やったぁ!!これでお家に帰ってみんなと遊んだりできるんだね!!うん!!私頑張るしいい子にしてるからね!!」


少女М「いっぱいやりたいこと考えてるとなんだかポカポカしてくる。楽しみだなぁ!また二人は先生とお話しして元気になるための準備してくるからってお部屋からでていった。私は大きくなったら作る服を絵に描いてまっていようっと。」


少女М「絵を描いてたら寝ちゃってたみたい…みんなが部屋に戻ってくる音で目が覚めちゃった。あと二回寝たら元気になるための しゅじゅつ っていうお薬を飲まなきゃいけないんだって。そしたらお家に帰れるのかな!」


(間)


不自然な程静まり返る病棟。


少女「…んっ…まだ、朝じゃないんだ…。目が覚めちゃった…あれ??誰もいないのにドア開いてる。」


???「いやぁ参りましたねぇ、急にあんなにお迎えに行く仕事が入るだなんて。人間は何考えてるかわからないですねぇ。」


少女「…だぁれ??…サンタさん??」


???「おや!?お嬢ちゃん私のことが見えるんですねぇ。これは珍しい!!」


少女「…違うの?」


???「驚かせっちゃったかな!?本当はもっと早く来る予定だったんだけど急に仕事たくさん入っちゃって遅くなってしまいました。」


少女М「黒い服を着た初めて会うこの人はわたしのそばまで来て笑ってこう言った」






死神「おまたせ。」








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