第五十二話 『お父様』の説明をしてもらわないまま、王宮に到着した∑(゚Д゚)
「「「えぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!」」」
「お父様。ぐすっ……もう、離しません」
リンリンの涙が、ミイナの背中にぽろぽろ落ちていく。
お父様宣言されたミイナは混乱状態になり、目がグルグルしながらリンリンの背中をトントン叩き。
「とっ、とりあえず一旦離れてくれないかしら、リンリン。このまま『お父様』と呼ばれながら抱きつかれると、私という存在がおかしくなりそうだわ」
「そうだぞリンリン。ミイナはどっからどう見ても『お父様』じゃなくて、『お母様』だろ!」
「ジンくんの言う通り。そこは『ミイナお義母さん』、『天使お母様』、『ジンお父様』でしょ。私の愛娘リンリンさん!」
「「お前(アンタ)は黙っていろ(なさい)、天使!!」」
「まさかのダブルで! あふぅぅぅんっ!」
罵声を浴びた天使が感電したように悶える。
コイツはもうダメだ、放っておこう。
「ぐすっ、すみません……ぐすっ……つい嬉しくなって……」
ミイナの願いや必死さが通じたのか、リンリンは渋々ミイナから離れた。
だがまだ泣いているので、ここは泣き止むまで待つことにしよう。
泣き止んだら、なんでミイナが『お父様』なのか、『お母様』じゃダメなのかきっちり説明してもらうからな、リンリン!
30分後。
【祝! お父様発見おめでと───O(≧∇≦)O────】
と書かれた、ふざけたくす玉がリンリンの右手にはめている【永輪の指輪】から出てきたので、ジャイロボール投法で馬車の外へぶん投げた。
そしたらたまたま歩いていた、スキンヘッドでニクショクウサギの刺青を腕にしている怖いおじさんの頭にぶつかり、俺は馬車から引きずり出されるように降ろされ、部下達に囲まれた状態で世界一怖い壁ドンされながら慰謝料として内臓を売られそうになったのを、ミイナがサダンさんのように怖くなって、そのスキンヘッドの怖いおじさんや部下達を脅して、逆に内臓を売る手配を御者のおじさんとし始めたので、俺と天使とリンリンの三人でミイナを説得しているうちに、わんわん泣くスキンヘッドの怖いおじさんや部下達を逃した。
マフィアのような怖いおじさんやその部下達が、ミイナの迫力で園児のように泣き喚く光景を目の当たりにして、【結婚したとしてもミイナは絶対に敵に回したらダメ】と心に深く刻んだ瞬間だった。
そんなハプニングに巻き込まれたせいで、気がつけば――。
「皆さん、王宮に着きましたよ」
リンリンから『お父様』についての説明してもらう前に、馬車が王宮に到着した。
馬車から降りて、RPGでよく見るようなデザインの王宮を前に、深呼吸するように大きく息を吸い込んで、喉の奥から叫んだ。
「着いちゃったよぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ジン、黙りなさい」
「ジンくん、しーー」
「ジン様、ここで叫んではダメです」
「ごめんなさい。むしゃくしゃしてやりました」
ミイナ、天使、リンリンにすぐ注意されたので、とりあえず怒らせたら一番怖いミイナに土下座して謝った。
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