第四十六話 ひよこが恋しくなるゴブリントリオ。その名も『アカベエ』『アオネ』『リョフ=ウンチョウ』
スリーマンセルで仲間と空を飛びながら、集めたら願いが叶うという七つの赤い岩を六つまで集め、四個集めたらとある場所への座標が現れるという星の入ったボールを三個まで集め、最後の岩とボールを手に入れる最終決戦で『乙解』した俺が『オンリーワン』を使用してラスボスにトドメを刺すという場面で空から巨大プリンが落ちてきて、世界はプリンによって滅びた……。
ちゅぱちゅぱ、くちゅくちゅ。
「う……ん?」
口周りがぬるぬるする感触で夢から現実に戻り、重たい
「はぁはぁはぁ、ジン……くぅん」
上半身は裸、下半身は下着という姿で俺のズボンやパンツをいつの間にか脱がし、モロ見えのチ◯コを下着越しに股で挟みながら、天使が胸を体に押しつけ犬のように口周りをちゅちゅぺろぺろしていた。
「どすこーーーい!」
「あふぅん」
力士のように両手で押し出し、ベッドから転げ落ちた天使の胸を鷲掴みしながら。
「おいコラ。何してたんだお前は」
「私もミイナさんも準備が終わったからジンくん呼びに来たけど、寝てたから優しく起こしてあげたの❤️」
「普通に起こせばいいだろ、普通に!」
「あぁ、いやーーーん❤️」
りんごを潰す力を込めながら、胸を思いっきり揉んだ。
初めは天使も体を震わせて喜んでいたが、時間が経つにつれだんだん泣きそうな顔になり。
「……あの、ちょっとジンくん。痛い痛い、痛いよ。そんなに胸を強く握らないでお願い」
「ヒャハハ! 黙れ天使、このまま握りつぶしてや――」
「アンタ達。服を着ないで一体何してるのよ」
「「ゑ」」
純白の鎧装備一式を身につけたミイナにバレ、俺も天使もゲンコツをくらい、しん◯すけみたいなタンコブが出来て、鬼のようになったミイナにめちゃくちゃ叱られた。
はっきり言って怒ったミイナは超怖かった。背後にサダンさんがスタンドのように立っていると錯覚したくらいだ。
とまあそんなこんなもあったが、ミイナと天使と一緒に屋敷の外に出ると、そこには門番のおじさんがいて、結構豪華な馬車が停められていた。
「ミイナさん。準備はできたかね」
「ええ、王宮までお願いね。おじさん」
おじさんと会話して慣れたように馬車に乗り、「早く乗りなさい」と手招きするミイナ。
「あれ?」
ふと、周囲に天使しか居らず、マカが見当たらないのでミイナに聞いてみた。
「なあミイナ。マカは?」
「来ないわよ。パパが屋敷にいるから残るって」
「ふーん、そうなのか」
ミイナは淡々と答えたが、俺は『神眼』であの二人の関係を知ってるだけに、王宮から屋敷に戻ったらミイナの弟か妹が出来てたりなんて…………なんてな、流石にないよな。ははは。
「ジンくん。私達もこの旅で赤ちゃん作ろうね❤️」
天使がミイナに聞こえないように耳打ちしてきたけど、今のは聞かなかった事にしよう。虫の鳴き声に違いない。
俺と天使も馬車に乗り、三人乗ったところでおじさんが馬車の扉を閉め、
「では出発しますよ。ハイヤー!」
鞭を打ち、おじさんが馬を操縦して馬車は出発した。
ちなみに王宮まではここから4日もかかるらしい。
「いい景色だな」
街を出てからしばらく馬車に揺られ、何事もなく移りゆく景色を眺めていると。
ヒヒィーーーン!
「うわあ!」
おじさんの悲鳴とともに馬車が止まり、そのおかげで俺は頭を窓枠にぶつけた。
「痛ってぇ!」
「おじさん、何かあったの!」
「ミイナさん。ゴブリン、ゴブリンが出ました!」
「「「ゴブリン!」」」
ゴブリンと聞いて慌ててミイナが馬車から降り、俺と天使も続いて降りると、馬車の通り道を塞ぐように赤い服を着た盗賊風な男のゴブリンと、青い服を着た狩人のような女のゴブリンと、立派な赤い馬に乗り、身の丈を超える巨大な薙刀を持った、一人だけ全身鎧姿のゴブリンがそこにはいた。
「やい、そこの馬車!」
「命がおしければ金目のものを置いていって貰うよぉ」
「うむ!」
赤い服のゴブリンと青い服のゴブリンはちょっと子供のような高い声で武器を持ちながら脅しをかけてきたが、全身鎧姿のゴブリンは世紀末の覇者のような渋い声で頷き、武将のような風格で薙刀を持ったまま最後尾で立ちはだかる。
なんだよあの鎧のゴブリン。一人だけ外見とか違いすぎだろ。
このまま戦闘が始まるかに思えたが突然、赤い服のゴブリンと青い服のゴブリンが後ろにいた全身鎧姿のゴブリンを中心に集まり。
「「「合体!」」」
まるで打ち合わせをしてたかのように同時にそう言い、赤い馬に乗った全身鎧姿のゴブリンを中心にして手を繋ぎ、組体操の扇を組みながら。
「さあ驚け!」
「笑えるなら笑え!」
「我ら、キングゴブリン様に認められし最強の盗賊トリオ。その名も――」
そして今度は形を変え、赤い馬に乗った全身鎧姿のゴブリンが馬から降りてしゃがんで待つ二人の上に乗り、三人でピラミッドを組みながら。
「アカベエ!」「アオネ!」「リョフ=ウンチョウ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます