第三十九話 『リンリンちゃん』とは?

 何百もの魔法陣が集まって一つの球体になり、360度3D立体プリンターのように人の形を生成していき、10秒が経過した。


「あれ? ここどこ?」


 パリンと魔法陣が卵のように割れて現れたのは、黒い皮膚、というより炎天下で日焼けして黒くなった健康的な肌に、顔は派手なメイクをしていて、上は黒い半袖に『すると』と白い文字で書かれた服を着ており、健康的でムチムチとした胸をこれでもかと見せつけ、下は露出の多いショートパンツにベルト姿の、昔ながらのギャルそのものだった。


「お前が『スルト』か?」


「そだけど。アンタ誰?」


「オレは『カミバライ=ジン』。お前を召喚した最強の決闘王デュエルキングだ」


「マジ!? アンタがあの『ハデスっち』のモルモットなの!」


「も、モルモット」


「そだし。ウチら神の間じゃ有名だよ。記念に写真撮っていい?」


「そ、そうか。

 写真くらいなら別に構わんが」


「マジ。じゃあ撮るよ。ウェーーイ」


 異空間から取り出したスマホのような機械でポーズを撮りながらカシャカシャと何枚も写真を撮り、いろいろ加工してどこかにアップするスルト。

 まさか勇者ではなくモルモットとして神に有名なのには驚いたが、ハデス教官のことを『ハデスっち』と呼ぶなんて、気持ち半分ただのギャルかと思っていたが間違いなく彼女は『神』だ。


「よし『神スタ』と『神ッター』にアップ完了。

 あ、それよりも」


 スマホを異空間にしまったスルトが突然右方向に顔を向けた。

 

「どうした」


 気になったので尋ねてみると、スルトは勉強中のギャルのように難しい顔をしながら。


「うーん。ちょっとウチの担当した英雄の『リンリンちゃん』が今【六皇】と【災害獣】相手に苦戦中っぽいのよ」


「は?」


『リンリンちゃん』? 【六皇】と【災害獣】?


「だからウチ、これから『リンリンちゃん』手助けしに行くわ」


「お前一体何言っているんだ」


「何って、マジメな意見に決まってるじゃん。

 じゃ、そゆことだから召喚早々ごめんねー」


 申し訳なさそうに両手を合わせ、隕石のように全身を燃やし、スルトはどこか空の彼方へと消えた。

 なんだったんだあの神(ギャル)は。それより『リンリンちゃん』とは一体誰だ?

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