第二十二話 あ、この技。真剣是巳でやったところだ(°▽°)!
「こんなに激しく突かれると服が燃えて裸になっちゃいそぉぉん『ゴブリンフレイムバリア』」
薄くて赤い透明の膜が、ナイトメアゴブリンの全身をタオルで巻くように覆い、後方から背中を襲う矢を全て防いだ。
「はぁふぅ。最初からこうすればよかったわぁ。ついでに火傷跡も消しちゃおぉ『ゴブリンヒール』」
ナイトメアゴブリンの背中が青白く光り、背中の傷と焼けた服の部分が再生した。
「はぁぁんんぅ。気持ちいぃわぁぁ」
「チッ。矢を防いだだけじゃなくて回復までするなんて、ちょこざいなゴブリンね」
「ふふふぅ」
「でも残念。少し遅かったわね」
ピシッ。
ミイナの剣を受け止めていたバリヤにヒビが入った。
「あらぁ。これはちょっとまずいわねぇ」
「はあああああああ!」
パリーーン!
とうとうミイナの剣がバリアを破り、心臓を一直線に狙うも、ナイトメアゴブリンがすんでのところで体を捻り右肩に剣が刺さる。
「うぐぅ!」
「外した!」
「せっかく火傷が治ったばかりなのに痛いじゃないのぉっ! 『ゴブリンフレイム』」
「しまっ、ああっ!」
ゼロ距離でゴブリンの形をした炎がミイナへとぶつかり、ミイナの全身が燃える。
「さっきのお返しよぉ。骨の髄まで燃え尽きなさぁい」
「お嬢様!」
「平気よマカ『ホーリーバニッシュ』」
ミイナの体が光り、炎が飛び散った。
「嘘ぉ。私の炎魔法が全然効いてないじゃないのぉ」
「当然よ。あんなぬるま湯程度の気持ち悪い炎で私にダメージを負わせられると思わないで」
「そうなのぉ。ならぁ今度はもっともぉっっと強烈な魔法をお見舞いしてあげるわぁ」
ナイトメアゴブリンの魔力が可視化できるほど大きく膨れ上がった。
「上等じゃないの。私達で返り討ちにしてあげるわ」
「はい、お嬢様」
対するミイナも全身から光が溢れだした。
ナイトメアゴブリンとバチバチに睨み合うミイナとマカ。ここから本当の戦いが始まるようだ。
この勝負。一瞬も目が離せない!
「おい。そこのお前」
真横から声が聞こえる。
誰だこんな時に。
「ごめんちょっと後にしてくれ」
「そうか。なら死ね」
「殺気!」
殺気を感じて無意識に頭を下げた。
するとさっきまで頭のあった位置を槍が通り抜ける。
「あっぶねぇえええ!」
「かわしたか」
槍を持った美女ゴブリンは手慣れたように槍先を後ろへ下げ、その反動で胸がぷるんと揺れる。
「『かわしたか』じゃっねぇよ! 今殺す気だっただろ」
「隙だらけだったからな」
「ぐう」
そう言われるとぐうの音しか出なかった。
確かに油断してたけどさあ。いきなり襲うのはないぜ。マジで。
「いくら胸が大きくて美女ゴブリンでも許せることと許せないことはあるよな」
「あはっ。嬉しいこと言うじゃないか人間」
「へ?」
何故こうなったのか理由は知らないが、全身から溢れんばかりの殺気が出てるのに顔はにやけている美女ゴブリン。顔と雰囲気のアンバランスさが怖い。
「お礼に苦しませず一瞬で殺してあげる。『ゴブリン七連突き』」
いきなり超高速で槍の連続突きが襲いかかってきた!
「はやっ!」
あまりの早さに死を覚悟した俺だったが。
「ちゃららっちゃらら、ちゃらちゃちゃっちゃ!」
気がつけば全ての攻撃を無傷でかわしていた。それも最後は晴れ○れユカイの団長ラストポーズをビシッと決めながら。
「バカな。初見で私の『ゴブリン七連突き』をそんな変な動きで全部かわしたの」
美女ゴブリンがありえないものを見るような目で俺を見てきた。変な動きとは失礼だな。アニメキャラダンスの原点にして頂点だぞ。
「し、信じられん。ゴブリン最強最速の槍使いである『ランサーゴブリン』の『ゴブリン七連突き』をかすりもせずかわしただと」
俺達を後方からずっと見てたゴツい盾を持ったゴツいゴブリンも俺の動きに驚いていた。敵とはいえこんなに褒められるの滅多にないからなんか照れるな。
「や、どもども」
嬉しさのあまり、ちょっぴり照れながら挨拶するように褒めてくれたゴツいゴブリンにお礼した。
だがそれがいけなかったか、ランサーゴブリンが俺へと怒りながら。
「人間ごときが、たまたま攻撃をかわしただけで調子に乗るんじゃないよ。今度は更に早い攻撃で確実に殺す。『ゴブリン十連突き』」
先程以上に高速で動くランサーゴブリンの槍が俺の体をズタズタにしようと襲いかかる!
が。
「上下下上左右左右、左足曲げて右腕上げてキラッ⭐︎」
「う、嘘……」
今度は星間○行の『キラッ』ポーズで、まるでダンスを踊るように、それも服にさえ切り傷一つなく完璧にランサーゴブリンの十連突き攻撃をかわした。
やっぱりな。どっかで見た動きだと思ったら、この槍捌き、地獄で針の山バトルロイヤルに参加したときに何度も殺された動きそのものだ。
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