Kissしよう♪

ハル

第1話 キス魔な私

「憐花(れんか)、合コン付き合って!」



親友の石河 衣千子(いしかわ いちこ)から合コンに誘われた。




「えっ!?合コン!?や、やだ!勘弁してよ!ただでさえ私……」


「良いじゃん!合コン!行こう!行こう!絶対だからね!逃げたら承知しないよ~?」




私、葉耶麻 憐花(はやま れんか)。25歳。


親友の衣千子から、いつも合コンに誘われ付き合わされる。


だけど、私は場の盛り上げ役の為であり、私自身はまだまだ男の人との出逢いを一切求めていない。


場が盛り上がるなら、それで良いし、それを知った上で、衣千子は、いつも私を誘ってくれる。


お互い親友の為、親友に何かあったらいけないという思いも含め私達はセットなのだ。


それに、衣千子には幸せになって欲しいから、衣千子が幸せになれる為なら私は見届けるまでは、私はまだまだ恋愛しようとは思わない。




だって私は……




「ねぇ~、衣千子ぉ~、キ~スぅ~♪」




甘えた声で言う私の姿。



「はいはい」




自分は全く知らないし意識してない。


衣千子に言われるまでは気付く事なく私は今を至っているのだ。


まさか!?とは思ったけど、2人で話し合って動画にして証拠を見せて貰った。


分かった時は顔から火が出る程、かなり恥ずかしい一面だった。


だけど、それを機に場の盛り上げ役に抜擢されている。


嫌々ながらも結局みんなが楽しく過ごせる事に越した事はないと私は思うようにした。


キスをした後は何事もなかった様に私は眠りに入った。







「合コン…かぁ~…」



私達の合コンの席を見てはポツリと呟く男の人の姿。




「高希(こうき)?」


「…瀏(りゅう)さん…俺……恋する事…出来ると思いますか?もう一年になるのに、まだ吹っ切れてないんですよね……」


「高希…急がなくても、そのうち良い人が現れるだろう?ゆっくりで良いんじゃないか?」


「…だと…良いんですけど…」





そして………




「…飲み過ぎたかな~?…俺…」




そこへ……



「衣千子ぉ~」




グイッと私は確認する事なく隣にいる人の腕を引っ張った。




「えっ?」


「ん…?…あれ…?」




衣千子にしては腕の感触に違和感がある。


私は足元から上へとゆっくり視線を移動させる。




ドキーーッ



全く知らない男の人に驚いたのと同時に胸が大きく跳ねる。





「きゃあっ!ご、ごめんなさいぃっ!」




サササ……


私は慌てて後ずさりした直後、バランスを崩し転びそうになる。




「きゃあっ!」

「うわっ!危ないっ!」



グイッと私の腕を掴むと引き寄せ抱きしめるようにされた。




ドキッ


胸が大きく跳ねる。




「大丈夫ですか?」




ドキン…


頭上から優しい声のトーンで尋ねる男の人の声に胸の奥が小さくノックした。




「…は、はい…だ、大丈夫です…すみません…」




ドキドキ加速するの最中、私は顔を上げると目の前には眼鏡を掛けた男の人。


奥からのぞき込む視線に更にドキドキ胸が騒ぐ。




「わっ!す、すみませんっ!」



慌てて押し離そうとする。



「いいえ」

「…いたっ…!」

「えっ?」



頭に違和感がある。


体を再び離そうとすると髪の毛が引っ張られたようになる。




「あ…髪…」



男の人は言った。




離れたくても離れられない状況。


至近距離に私の胸はドキドキと加速しながら、顔が赤くなっているのが分かる。


もちろん、お酒の影響もあるかもしれないけど……



その時だ。




「憐花」


「高希」




お互いの連れと思われる相手が私達に声を掛けてくる。


衣千子と共に一人の男の人。



「どうかした?」


衣千子が尋ねた。



「髪が…」

「俺のシャツのボタンに絡まってしまって…」

「あの、切って貰って構いません」

「いいえ。そういう訳にはいきません」



そして、髪が解けると私達は別れた。

































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