アカリマヤカシの証明
@yukydarma
序章
学年が上がってから数週間が経っていた。教室が移動して、共に過ごす仲間が変わる。そろそろ、そういった無慈悲な変化に慣れた頃合いなのだろうか。
わたしに、そういった感覚は分からない。悪夢のような
「………っ!」
引き戻される感覚に目が覚める。身体中に残った痛みと不快感。泣き叫ぶ自分の声が耳の中に残っていた。喘ぐように息をして、力無く机に倒れこむ。涙が抑えきれない。
「う、ああ………っ」
教室の端の方の席では、まるで、わたしだけが幽霊みたいに取り残されたかのように、教室には何も知らない笑い声が響いている。すぐ隣で椅子が倒れて、それを心配する声が聞こえる。誰も、すぐそばで啜り声を隠そうとするわたしに見向きもしない。
今、ここで泣き喚いたって、きっと誰もわたしの話すことを信じてはくれない。抑えなきゃ。抑えないと、気味悪がられる。四年間のそのような月日は、助けを求めることすら諦めるのに十分だった。
いつも通りだ。なにも、変えられなかった。助けて、って言ったところで、誰も、わたしを見てくれないのだ。みんな、わたしを見逃してしまうのだ。見てくれたとしても、手を握って、引っ張り上げては、くれないのだ。
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