第102話 コラボ
ダンジョン前でキィちゃんとさっちゃんとわかれた俺たちはダンジョンにはいる。
キィちゃんとさっちゃんはダンジョン前の広場で母さんが来るのを待つようだ。
俺はこっそりと今宵とイオリさんを
「何階層で配信しますか? なんだか後から書かれているアーカイブのコメントをみたら1階層は面白くないみたいな事が書かれてました」
「あー、1階層は子供でも入れそうだからね。戦闘が激しい方が好まれるみたいかな」
「なるほど……。ちなみにイオリさんは最大で何階層まで行ったことがあるのですか?」
俺は魔法陣についたら上層に飛ぶためにもイオリさんの最高階層を聞いてみた。
「私は11階層が最高かな? 二人は?」
「こよ……アステルとシュテルンは12階層だよっ!」
「あれ、思ったより低い……。シュテルンさんはソロで11階層にいけるのに最高が12階層なんですか?」
12階層って低いのか? でも東京ダンジョンの最大攻略階層ってまだ40階層にも行ってなかったような?
それから考えると12階層ってそこそこな気がするんだが……。
「おに……シュテルンが危険は冒さない! ってうるさいの」
俺への会話を今宵が答える。
「そうなんだね。うーんそれなら最大で11階層としてもこれから行くとすると時間的にはこの間と同じ6階層になるかな?」
ちょうど1階層の魔法陣についた所でイオリさんが移動的にいけるのは6階層だという話をする。
俺は今宵に飛ぶぞという目線を向けると、今宵も『てぃっ』とした。
俺は魔法陣に乗る直前だったのでイオリさんの言葉には答えず2人が魔法陣に乗ったのを確認して11階層へと飛ぶのだった。
「え!? 2階層じゃない!? こ、ここはどこなの!?」
「イオリさん落ち着いてください。ここは11階層です」
「ど、どういうことなの?」
驚かせようと思ってこんなにも思った通りのリアクションをしてくれるイオリさんは凄いな。
さすが人気配信者だ。
「空間魔法が使えれば一度行った事がある階層にはいけるんです」
「そ、そうなのね」
「シュテルン! なんか10階層にボスがいるような気がする! 配信で行ってみようよ」
今宵がなにかスピリチュアルな事を言いだした。
いや気配察知でも空間断絶していて一切わからないんですが? でも今宵が言うとなぜか本当にいるように思う不思議。
「じゃあとりあえず配信を始めるか? 流れは喫茶店で話した感じな。イオリさんもそれで良いですか?」
俺がそう言うと今宵は『てぃっ』としている。
マジでどんだけそれ気に入ってるんだよ。
「え、えぇ。いや、え? たった3人でミノタウロスを倒すの?」
「ああ、いた場合はですね。では配信をはじめます」
今日は午後から生配信をする可能性があると告知をしているので初配信より見てくれる人がいると良いなと思いながら俺はLIVE配信を始めた。
「みなさん、おはこんばんは。アステリズムチャンネルのシュテルンと今日から一緒に出演してくれることになった……こちら」
「みなさん、おはこんにちは! アステルですっ!」
「そして今日は第2回目配信という事になるのですが、な、なんと! 初配信の時に偶然出会ったイオリさんをゲストにお呼びしました!」
「わーい パチパチィ」
俺の紹介と今宵の拍手の後にイオリさんは登場する。
「こんにちは、イオリです。このチャンネルに呼んでもらえて嬉しいです」
「はい、ということで今日はこの3人でLIVE配信をして行こうと思います。まあ僕は声だけなんですがよろしくお願いします。そして今現在、ここがどこかと言いますと東京ダンジョンの11階層に来ていまーす」
俺はそう言いながら周囲を見渡した。
カメラはヴェネチアンマスクに付けているので、俺とほぼ同じ景色が映っている事だろう。
しかし端末をチラ見すると同時接続数が5万人を超えていて配信と同意にチャットが滝のように流れている。
これもう読みながらは不可能じゃないのか? 読んだ瞬間そのチャットコメントははるか彼方だ。
「おに……シュテルン早く行こうよ。誰か他の人に倒されちゃうかもしれないよ」
「えー、11階層に来てはいるのですがどうも10階層にですね、ミノタウロスが沸いたとアステルが言っているので行ってみたいと思います」
俺たちはそう言うと魔法陣に向かう。
そう言えば前回は気にせずに普通に魔法陣に乗っていたけど、一瞬ラグっぽくなるだけで映像が切れたりしないんだよね。
ブモオォォー!
「ヒッ」
いやホントにいるとは。
メチャクチャ普通の階層と同じように来てしまったよ。
イオリさんは一瞬悲鳴をあげたが、今宵は俺と同じくいつも通りのようだ。
最初に今宵がミノタウロスと戦った時を思えば凄い成長だ。
しかしどうするか。
正直ミノタウロスはもうお腹いっぱいなんだよなぁ。
「アステルどうする? 一人でやってみるか?」
「ちょ、ちょっとシュテルンさん。来てる来てるから。もうそこまでミノタウロス来てますよ!」
イオリさんがめちゃくちゃ焦ってるけどレベル17のC級ですよね?
そのレベルで焦る必要性を一切感じないんだが……。
「やってみる! いっくよー! 雷遁・稲光!!」
今宵がスキルを放つと、いつもよりかなり大きめのバチィという音が鳴ってミノタウロスの真上から落雷が落ちた。
…
……
ズッシーン!
「えぇ……。ミノタウロスが一撃!?」
イオリさんが驚いているが俺も正直少しだけ驚いている。
今宵の一撃を受けたミノタウロスは前のめりに倒れ動かなくなった。
結構近めで倒れたので顔に当たる風圧が凄い。
「アステル一撃ってすごいな。どうやったんだ?」
「ん-っとね、魔力をめっちゃ込めてみた! いつもの3倍くらい!」
なるほど。
俺は自分では一撃で倒すのは無理だと思ったが、通常の3倍くらい魔力を込めれば俺もいける可能性があるのか?
しかし魔力を多くこめるって今宵の魔力制御は俺より低かったはずなのに超えられたのか?
ちょっと俺もあとで魔力を込めてどのくらい威力がアップするか試してみよう。
そう思いながら俺はミノタウロスをアイテムボックスにしまった。
「んー、もう少し戦闘場面があるかと思ったんですけど、一瞬で終わったのでLIVE配信の進行に困りますね」
「ちょっとシュテルンさんそんな事を言ってる場合じゃないでしょ! 一撃ですよ!! ミノタウロスが一撃! そんな事ある~!?」
イオリさんが凄く興奮しているが目の前で起きた出来事を信じられないってどういうこと?
一撃は確かに俺も少し驚いたけど、俺たちのレベルも上がっている訳だしこんなものといわれればそんな気がする。
「まあ僕も少しだけ驚きはしましたがアステルならこんなものでしょう」
俺はそう言うとアステルを見た。
「いぇーい! 完 全 勝 利 !」
今宵はカメラに向かってダブルピースで答えている。
「まあミノタウロス戦は予定に無かった急遽の戦闘でした。それでは11階層に戻って戦闘配信をしていきたいとおもいまーす」
俺はそう言うと二人を見て魔法陣へ誘導するのだった。
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