ワルオン修学旅行

「お母さん~学校にワルオンの機器持って行っていいよね?」


「壊したら知らないからね?」


「絶対に壊したりはしないから…慎重に取り扱うから大丈夫!」


「なら行ってらっしゃい」


「行ってきます!」


今日は待ちに待ったかと言われると…微妙だけど、学校の友達とワルオンで遊べるのは超嬉しい!


しかも修学旅行は、学校に寝泊まりするみたいだし、夢だった学校に泊まれるなんて夢見たい。


修学旅行の持ち物は、「ワルオン」「二日間の食べ物」「飲み物」「スマホ」「充電コード」もしくは「モバイルバッテリー」「お金」の7つ。


「おはようございます」

校門に立っている校長先生に挨拶をする。

靴箱へ移動し、自分のクラスへと行く。


私のクラスは4組。

4組は、男女の比率が綺麗に半分に分かれているクラスでもあり、何か言いたい事があったら直ぐに言ってしまうクラスでもある。

男子にはゲーム好きがかなり多く、常に休み時間はゲームの話がよく聞こえてくる。



「おはよ~!」

クラスのみんなへと挨拶をする、4組のみんなは素直なのか分からないけど、挨拶をすると必ず返してくれる。


「咲ちゃんの私服可愛いー!」

「ほんと!?ありがとうー!」

「私服になって本当にありがたいよねー」


本来、修学旅行は制服で行くものであった。

修学旅行の話題が出る度に「修学旅行は遊びで行くんじゃないんだぞ」と先生は言ってくる。

しかし、「ワルオンで修学旅行をするから」と校長先生が直々に言ってくれて、私服で行けるようになった。


「みんな元気かー?」

4組の担任『元良 武蔵』《モトイ ムサシ》先生が入ってきた。

教卓の前に立ち、出席を取り始めた。


「よし…勉強の方が大事な人以外いる。それじゃあ今日一日の予定を説明していくからね」


「ここの教室は夜、寝る時に使います。

周りにテントがしまってあるけど、夜になったら広げて寝ること。

一つの教室に全員のテントが入るとは限らないので、六人の班に別れてもらいます。

別に六人じゃないとダメではないけど、出来れば六人で、一人ぼっちを絶対に作らないでくださいね。それじゃあ別れて~」


こういう時に素早くグループを作れるのも、

4組のいい所。誰一人ぼっちがいない。


「そしたら、各自で第一体育館に向かってください。ワルオンの機器を持ってきた人はそれも一緒に」


「咲ちゃん行こう~」

友達と一緒に第一体育館へと向かった。



第一体育館に着くと、大量のベッドが置かれていた。

第一体育館は最大で800人が入ることができる程の広さがある。


「各班固まってベッドに座ってください。

座ったら全クラスが集まるまで、その場で待っていてください」


「どこに寝るー?」

「やっぱり寝るなら端っこでしょ?」

「端っこなら誰にも邪魔されないから、決まりだね!」


ベッドの端っこをゲットし、全クラスが集まるのを喋りながら待つことに。

ワルオンを持ってきたのは半数以下。

やはり、高すぎて親に買って貰えなかった人が大半であった。


「咲ちゃん…よく親に買ってもらったね」

羨ましそうに友達が見つめていた。


「三年間貯めてやっと買えたんだよぉ。

もうあんな行列に並びたくない…」


「貸出のワルオンってくれると思う?」


「どうだろうね?でも、親から集めたお金で買ったんだし…貰えなかったら批判殺到しない?」


「確かに~」


全クラスが第一体育館へと集まり、修学旅行担任の先生が話を始めた。


「今から大事な説明をします、絶対に忘れないように。

今からワルオンの機器を持っていない人に、貸し出していきます。学校からの支給品なので慎重に扱うことを約束してください。

配り終わったら説明を続けます」


教員全員が手分けして、ワルオンの機器を配り始めた。


「本物だー!」

友達は、手元に届いたワルオンの機器を見て心が跳ね上がっていた。


「それでは最後の説明をします。

ワルオンにログインしたら外からの声は一切聞こえなくなります。なので絶対に忘れないように」


「ワルオンを起動したらキャラクター作成画面に移ります。最初に名前を入力します、絶対に本名はやめてください。

次に職業を選ぶ画面になり本来なら選べるのが少ないのですが、今回運営様が自由に選べるようにしてくれました。なので好きな職業を選び、ログインボタンを押したら完了です」


「ログインが完了したら広場にテレポートするはずなので、旗を振っている私を見つけてください。

すぐ近くにいると思うので、すぐに見つかるはずです」


「それでは、各自キャラクター作成に移ってください」


次々とベッドに横になり、ワルオンの機器を装着していきました。


「ワルオンにログイン」

咲はいつものようにログインしました。




「あっ…そうだった」

自分の鍛冶屋でログアウトした事を忘れていたメリルであった。

急いで広場に向かい、先生を見つけに行った。


「咲ちゃん~」

私の名前を呼びながら友達が走ってきた。


「花蓮ちゃん魔法使いにしたんだね!」

「魔法使いにずっと憧れてたんだ~」

「めっちゃ似合ってるよ!」


「咲ちゃん~花蓮ちゃん~」

続々とキャラクター作成が終わった友達が、

寄ってきた。


魔法使いの「実音ミオ

剣士の「夏那ナナ

弓使いの「凛音リオン

魔法使いの「琉奈ルナ


みんな魔法使い好き過ぎる。


「あそこに先生居るから行こか!」


旗を大袈裟に振りまくっている、先生の元へと向かった。

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