泣き叫ぶ少女
私に悲劇が起きた。
遂に中間テストが二週間前まで迫ってきた。
私がワルオンばっかりやっている事を知っていた親は、中間テストが終わるまでワルオン諸々を没収すると言ってきた。
私の頭の中はワルオンしか無かったが、しょうがなく勉強を始めた。
勉強を始めて五分……、集中力が切れて勉強するのが嫌になった。
そこで私は親に交渉することにした。
「お母さんお父さん! テストで学年20位以内に入ったら……、ワルオンに課金させて! お願い!」
両親は我が子の突然の発言に戸惑っていた。
ワルオンを買わせたのはいいものの、我が子がゲーム中毒みたいにずっとやっていることに不安を抱えていた。
「いいけど、一教科でも平均点より低い点数を取ったら制限させてもらうからね? それでいいですよね?あなた」
「ああ……」
父は子供が楽しんでいるならいいじゃないか。と心の中ではそう思っていた。
(ワルオンの課金が懸かっている時の私は、超本気になりますからね!?
昔から、何かを達成したらご褒美があるシステムになると私は本気になって何でもできた)
時は三週間後……、中間テストが終わり結果が帰ってきた。
結果は学年7位。
ワルオンが発売される前にあったテストは、学年197位だった為、咲は嬉しすぎてその場に倒れ込んだ。
そして三週間ぶりにワルオンにログインした。
『今日のお知らせ♪』
・チームメンバー人数上限増加
・ガチャガチャシステムの開発
・レアスキルの開発
「この感じ……、久しぶりだ!」
三週間ぶりにワルオンにログインしたメリルは、開放感に浸っていた。
周りを見ると初心者がかなり少なくなっていた。
ワルオンがサービス開始してから一ヶ月が経った。
初心者が居なくなったという訳ではなく、それほどほとんどの人がやり込んでいるということだ。
「ワルオンに来たらまずはあれだよね?」
いつものカフェへと入る。
そして特等席でいつも飲んでいたアイスコーヒーを飲む。
これがワルオンにログインしてからのルーティン。
「久しぶりにランキングをっと」
ランキング画面を開きメリルは驚いた。
三週間前は日本ランキング2位であったテイオウが23位まで落ちている。
何かあったのだろうか?現実が忙しいだけなのか、それとも飽きてしまったのか。
「ユイさん! キャー! ユイさんー!」
カフェの外から物凄い歓声が聞こえた。
メリルは外に目を向けてみると、そこには立派な装備を身に付けていたユイがいた。
幻かと思い目を擦ったが本物のユイであった。
そういえば三週間も経っていた。
そしていつの間にかチームシステムが開始されていた。
チームシステムとは最低三人以上で結成することが出来るチームであり、モンスターを倒した際にチームボーナスが発生することがある。
最近ではチーム限定イベントやチーム限定で出来ることが増えてきている。
「私もユイさんに追いつかなきゃ……」
コーヒーを飲み終わり、上を向きながら目をつぶった。
「だーれだ?」
誰かが目を隠してきた。
この光景どこかで一回やられた覚えがある。
「ユイさん!? どうしてここに」
「カフェで、死んだように上向きながら寝てるメリーを見かけちゃって来ちゃった」
「は、恥ずかしい……」
「おかえりメリー」
「メリルちゃんでお願いします……、へへっ」
久しぶりにユイさんに会えて嬉しいのに、話す内容が思いつかない。
「チームって入った?」
「まだ入ってないです。ユイさんは?」
「私はメリルちゃんと組みたかったから……、チームシステムが開始してからずっと待ってたんだ」
「長らく待たせてすみません。私もユイさんとチームを組みたいです!あっでも……」
肝心なことを忘れていた。
チームを結成するには三人以上のメンバーが必要となる。
しかしメリルとユイの二人では結成することは不可能。
誰かもう一人を集めなければならない。
しかしそんな人どこにも…
「誰かあああああああああああぁぁぁ!!!!私をチームに入れてくだああああさいいい!!!!!」
カフェの外にやばい人を見つけてしまった。
あれはただ叫んでいるのか、それとも頭が狂ってしまったのか? あの人をチームに入れたらどんな事になるやら。
「あの人面白そうですね」
ユイは興味本位でヤバそうな人の元へ行った。
***
「あのちょっといいですか?」
「私をチームに入れてくれるんですか!?本当ですか!?ありがとうございます!!!!!」
「いえ……、あなたがどんな人か気になりまして。ちなみに職業は何ですか?」
「盗賊です!カッコイイですよね!? 盗賊カッコイイから私もなったんですよ!? 盗賊カッコイイー!いぇーい!!!!」
「ふふっ」
ユイは何故か笑いだしてしまった。
そしてチーム作成画面に彼女を登録し、チームが完成した。
そしてユイが彼女を連れて戻ってきた。
「紹介するね」
ユイから彼女の名前を聞いた。
彼女の名前はコードネーム『アサシン』盗賊っぽいから付けたらしい。
ランキングを見てみると、8位のところにアサシンがいた。
見た目に反して凄い人であった。
「チーム名どうします?」
アイスコーヒーを啜りながら二人に聞いていた。
チームにとってチーム名はかなり大事である。
もし有名になった時に変なチーム名であったら、逆の意味で有名になってしまうからだ。そのためにもチーム名はちゃんとしなければならない。
「私いい案ある! アサシンズ!」
「あくまでメリルちゃんがメインのチームなんですから」
「そうなんですか!?」
「そうだ。シープスミスとかどうですか?」
「鍛冶師と羊を掛けたんですね。素敵だと思います!」
こうして、チーム『シープスミス』が結成した。
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