第22話 釈放
「明奈、迎えにきてくれたのか。すまない」
強烈な日差しの中、大きく伸びをする南条に明奈が近づく。
「お
「ありがとう。でも別にここに勤めるわけじゃないんだ」
明奈のギャグを完全に素通りして、南条が答える。
「
さわやかな笑顔を奈緒に向ける。
「川窪さんにも世話になった。また、会えるだろうか?」
それは難しいと奈緒は思う。事件が無ければ、奈緒と南条の接点は無い。
「あなたが悪いことをしない限り無理ね」
「そうか。それは残念だな。衛兵に友人が二人いる。そういうわけにはいかないのか」
奈緒と真庭を友人だといいたいのだろうが、それは無理だ。キャリアとSATの指揮官。二人とも普通の警察官ですらない。
「まあいい。生きていれば必ず会える。元気で」
あっさりと別れを告げて立ち去ろうとする南条に、奈緒は怒りを感じた。
「家まで帰れるの?」
「大丈夫だ。太陽の位置で、だいたいの場所はわかる」
真夏の太陽の下を、
「明奈、走れるか?」
走ってくんかい!思わず突っ込みを入れそうになる。
「え、無理かな。今日暑いし」
「そうか。なら背につかまれ」
南条が明奈の前に膝をつき、背中を差し出す。
「ええっと、それもちょっと。子供みたいではずかしいかな」
真っ昼間に、半纏男に背負われて歩くのは罰ゲームに等しい。
「仕方ないな」
南条の
「きゃっ」
明奈が上げた叫びには、半分くらいうれしさが混じっているように聞こえた。南条は軽々と明奈を両腕に抱きかかえていた。いわゆるお姫様抱っこだ。
「これでどうだ?」
「ど、どうかな」
頬を赤らめ、明奈が
「犯罪よそれ。逮捕します」
「えっ、いけないのか?」
40キロに近いはずの明奈の体を、羽毛布団のように軽々と扱っている。筋力もさることながら、
「犯罪行為では仕方ない。明奈、降ろすよ」
壊れ物を扱うようにゆっくりと、南条は明奈を歩道に降ろした。
「時間はかかるが、歩いていくか」
小さな妹の手を握るように、南条の手が明奈の手を握る。
「ちょっと待ちなさい」
大人気ないとは思いながら、南条と明奈の間に割り込むと、ポケットから車のカギを取り出した。
「わたしが送ってあげる。未成年と成人男性を二人きりにするわけにはいかないもんね」
奈緒は横眼で明奈の顔色を
「車で送ってくれるんですか?ラッキー。すっごい助かります」
満面の笑顔で、奈緒の腕にすがって明奈が飛び跳ねる。明奈に嫉妬を感じた自分が恥ずかしくなって、奈緒は少しの間
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