第38話 年を重ねるということ

あの頃は青春だったなー

あの頃楽しかったなーキラキラしてたな。


そう思うこと、それが年を重ねるということだと65歳の父ちゃんにしみじみ言われる。

そうだなー


私も年を重ねたのだなぁと実感する。

それと同時にまだまだこれから、頑張らなくちゃと思う。


20代半ばまではざっくりと将来を想像して

こんな風に生きたいな。

あんな風に暮らしたい、そんな漠然とした夢を抱いていただけだった。


今、悩みが尽きない。

自分の夢は何なのか。夢じゃなくても向かっていくところはどこなのか。


家を建てる?

どこに?ローンはどうする?いつにする?


貯金はある?

仕事はどうしよう。お金貯めないとな。将来のために。


こども?

いつかは欲しいと思っていたけど。

いつかとはいつなのか?年齢を考えないといけない。

欲しいと思っても、願い通りになるとは限らない。


パートナーとこれから何十年と、うまくやっていけるか。


ペットもいつか飼いたいな。動物と暮らす暮らしをしたい。


思い描く未来は、浮かんでは消え。

これだと決めるのが怖い。

でも時間は待ってくれない。

自分の若さも待ってくれない。今が一番若いのだ。


後悔している暇なんてないんだけどな。


人生のページはまだまだ続く。

最終ページを決めて生きるのは面白くない。


最近読んだ詩集に、とても気に入った言葉を見つけた。

『愛だけが残る』ナ・テジュさんの詩集に出てくる1ページ。


二本の木が離れているからといって

愛していないわけではない

二本の木が向かい合っていないからといって

お互いを想っていないわけではない


風の吹く日 ひとり

森に出かけて 見てごらん

この木が揺れるとき

あの木も一緒に揺れている


それは この木があの木を

絶えず愛していることの表れ

あの木もまた この木を

絶え間なく想っている証し


とても素敵な文章。すうっと体に入ってくる言葉。

そんな関係性ってとてもいいなって思う。


絶え間なく想い合っている。

そんな温かさを幸せと呼ぶのだろう。


温かく年を重ねていきたい。

年を重ねることを怖がらずに生きていきたい。


誰かを絶え間なく想って、絶え間なく愛せる。

そんなページが続くといいと祈る。


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