第37話 スルーできないドライブスルー
ここ数年、ドライブスルーをよくする。
最初にドライブスルーを考えた人、本当に凄い。
そんな最近、ドライブスルーの珍事件をうちの父ちゃんから聞いた。
某牛丼屋のドライブスルーをした時の話だ。
前の車に続いてドライブスルーの列に並んだ。
注文のマイクの場所に前の車が着くと、前の車は注文せずにマイクをスルーして行ってしまった。
父ちゃんはどうしたもんか。少し待っていた。
すると、少し進んで止まった前の車から人が下りてきた。
そして、歩いてマイクの場所に戻ってくると立ったまま注文を始めた。
マイクをスルーしてしまったから、歩いてドライブスルー。
斬新な試み。
初めてだったりすると、ドライブスルーの注文をどこでするか分からないのもよくわかる。
そして、父ちゃんの番になり無事に注文をして受け取り窓口へ移動。
その日、父ちゃんはいつも同じ牛丼を頼んでいるので他のメニューもあとでゆっくり見ようとメニュー表をもらおうと思ったらしい。
ファミリーレストランのテーブルによく置いてある、テイクアウト用の小さな紙のメニュー表だ。
「すみません、メニュー表みたいなのありますか?」
「はい。」
アルバイトの女の子が手渡したのは、店内で使っている大きいメニュー表。
受け取ったはいいが、父ちゃんドライブスルーの窓口で、車の中で大きなメニューを広げる。
その光景を想像しただけでも笑える。
しかも、サイドメニューとドリンクメニューまで親切についていたらしい。
がしかし。
大きいプラスチックのメニュー表を車の運転席で広げて。
これどうする?
そのあと、注文した牛丼を持った店員さんが現れた。
さっきの女の子ではなく、男性の店員さんだった。
「あの、メニューありますかって聞いたらこれ持ってきてくれたんだけど、これ持って帰っちゃまずいよね?」
父ちゃんは笑いながらたずねた。
「そうですね、それは困りますね・・・。」
店員さんも苦笑いだ。
「小さい、紙のメニュー表みたいなのあったら欲しいんだけど。」
「あーあいにく今、切らしておりまして。」
「ならいいんだ。」
父ちゃんは大きいプラスチックメニュー表をドライブスルー窓口で返した。
まだ父ちゃんは、牛丼並みしか食べたことがない。
他のメニューが気になっているものの、いまだ挑戦できずにいる。
いつか、ほかのメニューが頼めた時は得意げに帰ってくるだろう。笑
それにしてもドライブスルーの牛丼は安くて早くて便利だ。
ひとりで料理するよりよっぽど安上がりで私も好きだ。
ありがたや。
ちなみに私の甥っ子は、幼稚園児のころ、おしゃれ~なスターバックスコーヒーのドライブスルーでマイクに向かって大きな声で「いくら、ください!」と言ったことがある。
お寿司のいくらがちょうど大好きなころだった。
みんなが大笑いした。
残念。
いくらはありません。とお姉さんに言われていた甥っ子。
可愛くて仕方なかった。
終
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