第3話 休日の使い方
今日は日曜日。あの事件から翌日の事だった。俺は今日、バイトも休みで久しぶりの休日で寝ていた。俺は渥盛拓哉、大学生。最近、変な奴に取り付かれ俺の体はおかしくなっていた。俺の息子がムズムズしていたので、俺は目を開けた。目を開けるとテレビの電源が付いていた。昨日寝る時には消したのに、おかしい。
俺は、何だと思い起き上がる。その光景に俺は驚愕する。その光景とは俺の息子がテレビのリモコンを操作していた。
「おい、何をやってるんだ」
『いや、この時代劇というものにハマってな。この遠山の銀さんだったか、中々面白くてな。セリフがかっこよくてな』
俺の息子は俺に話してきた。っていうかお前金さんじゃなくて棒だろと俺は心の中で突っ込む。
「てか、お前は宇宙人なのか?」
『私はこの星を侵略のための調査で訪れたヘル星人だ。まさか、第一発見者を殺し、乗っ取り調査の予定がまさか、こんなことになるとは・・・』
「いや、それこっちのセリフ。てか、殺すつもりだったのか、怖いわ」
俺は俺の息子に話しかけており、もしこれが他人に見られたら頭がおかしいやつと思われるだろう。
「他にも来てるのか、宇宙人は?」
『分からん。私は一人乗りの宇宙船でここへ来た』
「俺は渥盛拓哉。拓哉でいいよ。おまえ、名前は?」
『そんなものは無い』
俺の息子は否定する。名前が無いか・・・
「名前が無いと俺は何て呼べばいいか分からん。名前は何がいい?」
『・・・・銀さんでどうだ。ほらこの私が出ればビビるであろう』
俺は思う。そりゃビビるよ。まさか、公衆の面前でいきなり息子出したら俺の人生が終了するよ。
「銀さんか、それでいいや。でもまぁ、勝手には出ないでくれ、頼む。俺の人生が終了する」
『そうか』
銀の声は悲しそう聞こえた。いや俺が困る。
「喋るのも人いない時で頼む」
『面倒だな・・・まぁいいだろう。この姿でこの星を調査すればいい』
「お前見えてないだろ」
『私はお前の眼球で見ている映像は見えている。それとこうやって私が外にいれば私の眼で映像が見れる』
俺は「凄いな」と驚く。宇宙人怖ー。
『とりあえず、お前と離れる方法考え、この星を調査しよう。その調査を報告するために帰るまでお前に協力しよう、拓哉』
「あ、あぁ。よろしく」
俺は自分の息子に握手をした。今から銀さんとは協力関係だ。しかしこの絵図ら、只の、冴えない大学生の休日の精の日常にしか見えないわと俺は思った。
ブルルルル
俺の余り鳴らないスマホがいきなり鳴り、動揺した。
「誰だ?」
俺はその名前を見て、見覚えがあった。そこには先日番号交換した阿澄亜沙子と出ていて動揺した。阿澄さんは先日、男に振られ気分転換の為に海岸で叫び、ファミレスで酒を吞みまくった豪快な社会人だ。まぁ、最後は胃の中の物を俺にぶちまけたけど。
『拓哉、出んのか?』
銀が俺に聞いてくる。「出るよ」と言うと俺はスマホの画面をタップし電話に出ることにした。
「も、もしもし」
「あー、出た出た。渥盛君?」
電話先の相手は先日えらい目に合った阿澄さんの声そのものだった。
「どうしたんですか?」
「今日、暇?先日のファミレスのお金と迷惑かけたお礼したいんだけどさ」
「あぁ、ゲロまみれの件ですか」
俺はちょっと嫌味を言った。
「それは言わないで。本当に悪いと思ってるから」
その声は電話の向こうで謝るポーズが頭に浮かぶ。まぁ、せっかくの休みだけどやることもないので阿澄さんの件を快く承諾した。
俺は阿澄さんに言われた地元の結構大きい複合施設で待ち合わせをした。俺は待ち合わせの場所に15分ほど前に到着した。大体待ち合わせを今まで決めていたの逆パターンは初めてだ。
「お待たせ、待った?」
俺は後ろから声がしたので振り向く。そこには前見たスーツ姿の酔っ払いではなく
ビシッと決めたカジュアルなパンツスーツの阿澄さんがいた。
俺はつい見とれてしまった。
「いえ、全然すよ、さっき来たばっかです」
「そう。それはよかった」
「かっ・・・。いや、可愛いですね」
俺は言葉を選んだ。
「お、今かっこいいって言おうとしたのかな。全然いいよ。言われ慣れてるし。後、可愛いって言ってくれてありがとう」
「そ、そんな」
俺は動揺する。阿澄さんは笑って答えた。いや、普通に可愛いじゃんかよ。何でこんな人がフラれるんだ?と俺は思った。
「前のお返しよ。いっぱい遊んでいっぱい食べましょう」
「いや、そんないいですよ。お金使わなくて」
「任せなさい。社会人なめないでよ。君と遊ぶくらい懐はどうってこと無いわ」
阿澄さんは胸を張って答えた。
「じゃ、じゃぁ。お言葉に甘えて」
「ほら、行くわよ。レッツゴー」
俺と阿澄さんは大型複合施設に入って行った。映画館、ゲームセンター、本屋、雑貨等々いろんな店が混在し賑わっていた。とりあえず、俺たちは映画を見て、本屋で本を買い、ショッピングで服や靴まで阿澄さんに買ってもらい、至れり尽くせりだった。
これ、まんまデートじゃん。
「こんなにいいんですか?」
「いいの、いいの。前服汚しちゃったし。あぁ、後。あのファミレスの食事代返すから」
彼女は言うと時計を見て「そろそろ、お腹すかない?」と言ってきた。
俺もスマホで時間を確認すると3時を回っているとこだった。時間たつの早!そういえば、昼ごはんまだだっけ。
俺もその提案に賛成し、食事を取ることにした。
俺と阿澄さんはイタリアンのフランチャイルズレストランに入った。他にもお店があったがお値段がちょっとお高い。阿澄さんはそんな事どうってことないと言っていたが、流石に俺もこれ以上は不味いとお断りをし、リーズナブルな値段の所にしてもらうことで折り合いをつけた。
俺は席に着くとナポリタンを注文した。阿澄さんはピザを頼んでいた。とりあえず待ちながらフリードリンクを準備していた。
「何がいいですか?」
「えっ、いいの?じゃぁ、紅茶で」
「これくらい、お安い御用ですよ」
俺はドリンクサーバーでドリンクを作っていると店外から叫び声が聞こえた。
「きゃーー」
俺は店外を見ると人々が入り口から逃げ纏っていた。
「爆弾魔よ」
「助けて」
人々は混乱していた。入口の方をこっそり見てみると体に爆弾を巻き付けて1階の中央広場に歩いている一人の男がいるのが見えた。俺たちのいる飲食店も1階に位置し、客以外の人が店に逃げて来ていて店内は混乱。
〈うぁ、危ないやつがいる〉
俺は、すぐに目を合わせないように隠れた。
その言葉を聞いた店内でも混乱をしていた。その混乱を抑えるため、ファミレスの店員はお客さんに隠れるよう声掛けをしていた。
俺は店のテーブルの下に隠れていた。
『拓哉、どうしたのだ?』
銀が俺に話しかけていた。
「爆弾体に巻き付けてるやつがいるんだよ」
『この世界は意外に物騒だな』
「たまたまだよ。そうそうあってたまるかよ」
俺は銀と会話していると後ろから声を掛けられ、びっくりする。
「誰と喋ってるの、渥盛君」
「な、何でもないですよ」
俺は銀の事は喋らず、今見た混乱の元となっている爆弾魔の事を話した。
「そこの小窓から爆弾魔見えますよ」
阿澄さんは小窓から相手から見えないように覗くとみるみるうちに顔が険しくなっていった。俺はその変わっていく顔を見て「どうしたんですか?」と聞いた。
「あれ、私の知り合い」
阿澄さんはその爆弾魔の所に走り出していた。
「ちょ、ちょっと。何やってるんですかっ」
『追いかけろ、拓哉。私が何とかしてやる』
俺は阿澄さんを制止させようと手を掴もうとしたが早すぎてつかめなかった。
銀は俺に言ったが、俺はその言葉を聞く前に飛び出して、阿澄さんを追いかけた。
「待ちなさい、広田君。こんなことは辞めて」
阿澄さんは手を広げ、その場で爆弾魔に停止を求めていた。
「っ‼」
爆弾魔の眼は瞳孔が開き、その場で足を止めた。
「驚いた。こんなところで出会うなんてな。何をしてたんだ」
「あなたこそ、どうしてこんな・・」
「俺は人生全てにおいて失敗した。ここの人を巻き込んで死ぬんだよ」
「バカなことは辞めるのよ」
「俺はお前を振ったあの時から、人生が狂い始め今の俺は何もかも失った」
「また、一からやり直せばいいじゃない」
「だから、俺はここにいる人を巻き込んで俺は死ぬ」
爆弾魔は阿澄さんに話しかける。
おいおい、これどっかのテレビドラマかよ俺は思った。
しかも、阿澄さんこの爆弾魔にもふられてたのかよ。それと無敵の人ならではの謎理論。この人はヤバい。
俺は意を決して爆弾魔と阿澄さんの前に立ちはだかった。
「誰だ。君は」
「お、俺はこの人の友達です」
「阿澄君の小さなナイト君か?」
爆弾魔は挑発してくる。俺は相手を睨みつけ引かないという視線を送った。
『いつでも、準備よいぞ。拓』
銀は俺にだけ聞こえるように言ってきた。その言葉を聞き阿澄さんに「下がってください」とお願いした。
だが、阿澄さんはその言葉を一切聞かない。
俺は破れかぶれだが、俺の手を社会の窓のチャックに全部集中していた。
「君はこんな時に、股間のファスナーを開けるなんて頭大丈夫か?」
「あなたには言われたくないです」
俺は爆弾魔にまで馬鹿にされる。俺はファスナーを全開にするとポケットに入っているスマホを取り出した。
「何をしようとしているの、止めなさい」
「貴女を守るんです」
阿澄さんは俺の事を心配していた。俺も何も持ってないなら出てこないですよと思った。
「阿澄さん、目をつむっていてください」
俺は小声で阿澄さんにお願いをすると目をつむり背中に隠れてくれた。
俺は周囲を見渡し、人が避難して誰も見ていないことを確認した。
「いくぞ。銀」
俺は小さい声で銀に話しかける。
『心得た』
と俺にしか聞こえない小さな返事が返ってきた。
俺は手に持っているスマホを向け爆弾魔を激写する。
カシャシャシャシャ
カメラの撮影音とともにフラッシュがたかれた。
「何だっ、これ」
爆弾魔はそのフラッシュで目を隠し、一瞬の隙が出来た。
その時、俺は走り出し爆弾魔へ向って行った。
その瞬間
銀が取り付いている俺の息子が肥大し、爆弾男の顔面に何発も頭突きをする。
爆弾男の顔に俺の息子がめり込む。この間、僅か1秒の出来事だった。爆弾男は脳震盪を起こし、その場で前のめりに倒れこむ。気絶しているようだ。
『成敗』
銀は捨て台詞を言う。ファスナーからは銀が顔を出して、俺は今情けない恰好をしていた。
俺は周りを見て、誰も見ていないことを確認するとすぐに銀にファスナーの中に戻るよう指示を出し、ファスナー閉めた。
そして、気絶している爆弾男を動けないように腕を締め上げる。こんなところで〈必見。お手軽、彼女を守る護身術〉の本がこんなところで役立つなんて皮肉なもんだよと俺は笑った。
「もう目を開けて大丈夫ですよ、阿澄さん」
阿澄さんが目を開けると驚いていた。
「大丈夫?」
「早く、警察に連絡を・・」
俺は阿澄さんに警察に連絡してもらうとものの数分で大量のパトカーのサイレンとともに大型複合施設に大量の警官が雪崩込んできた。
何でも、男が入ってきた時点で通報はされていたのだが、この大型複合施設が立地に問題があり。ここへ来るまでの道がすべて一本道になっていて、しかも今日は日曜日。ここに来るまで渋滞に巻き込まれ到着が遅れたそうだ。そして、今ここに至るというわけだった。
俺は爆弾男の身柄を引き渡すとともに、阿澄さんと一緒に警察にお叱りを受けたことは言うまでもなかった。俺たちは警官に「後日、実況見分をするから、ご協力お願いします」に承諾し、その場は解放された。
その後
「大変なことに巻き込まれちゃったね。てへ」
阿澄さんは俺にドジっ子みたいな顔をしてきた。
「いや、あなたが突っ込んでいかなければこんなことには巻き込まれなかったんです」
「だって、昔告白した男が目の前に現れたんだよ。しかも犯罪者で、説得するでしょ、普通」
「普通しないですよ」
俺は阿澄さんの言葉を聞いて落胆する。この人ちょっと普通の人と感覚ズレてる。残念な美人さんだと俺は思った。天は二物を与えずという言葉がよぎる。
「まぁ、助かったから終わりよければすべてよしよ。さっきは食事しそびれたから、気を取り直して飲みに行きましょう」
阿澄さんは俺の手を引っ張るとゴーゴーと腕を上げた。近くにあったチェーン展開する飲み屋に閉店まで飲み、阿澄さんの車で就寝し、夜を明かすことになったのは言うまでもなかった。
隣では、可愛い鼾をかいている阿澄さんが寝ているのが見える。
俺は散々な目に合った休日だったと車のシートで目をつむり、寝る事にした。
後日談・・・
例の大型複合施設の爆弾男の事件が新聞、テレビ、ネットで連日話題になっていた。俺と阿澄さんの事は警察に頼んで報道させないように頼んでいたので周りに知られることは無かった。
犯人の自白であったらしく、俺の事は伏せられていたがフラッシュのあと大きな息子が俺に突っ込んできたと言っていた。警察はそれを信じるわけでもなく、頭がおかしのではないかと精神鑑定に出されているとも言われていた。間違ってないんだよなぁと俺はその記事を見て笑っていた。ネットでは宇宙人の侵略じゃないかと話題になっており、ネット住人が考えた想像図が描かれてネットではちょっとした祭りになっていた。
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