見限られたんじゃない

第1話 見限られたんじゃない

　そりゃあ驚くほどお嬢様だよね。

　何気に高級ブランド品を持ってる辺あたり、ええしの出と感じいてはいたけど、本人が至って普通だし、それナンボしたん？なんて聞けないからね。

　よく参加してた合コンで、たまたま意気投合して、付き合うことになって、始まりはそれくらい、まあ、場の雰囲気。

　みてくれは悪くなかったし、学校は違えど同じ大学生だし、卒業はしてないけど二年弱大学に行ってたのよ俺。

　その当時は仕送りして貰って、バイトもちょっとはしたけど、それなりの生活をしてた。

　親が死んで学費が払えなくなって辞める迄はね……。

　でっ何が凄いって、まず豪邸に住んでる

　お城って程じゃないが、庭に噴水があって、薔薇だ百合だチューリップ何だが植わってて、ブランコなんかもあったりで。

　無造作に飾ってある高そうな品の数々、部屋数も沢山、お手伝いさんまで住んでたよ。

　それでさ、彼女の部屋がまた凄い

　ひと部屋まるまるクローゼットだぜ、寝る部屋は別でやで。

　バッグや靴や並べられてる物、全部が高級品。

　こんなに服があっても着るの？って聞いたら、殆どのは着てない、だと。

　芸能人かよってツッコんだけど、みんな同じよ、って本人はポカーンとしてる。

　周りもお嬢様バッカなのね。

　箱入り娘だって極めつけは、初めての相手と結婚するって信じて疑わないとこ

　いつ式を挙げる？　なんて聞くのさ。

　新婚旅行は私、北欧がいいけど、行きたい国ある？　って調子で。

　好きな人と結婚すればいいって両親が言うのよ、ってニコニコ嬉しそうに話すんだ。

　その姿に責任ってもの感じなくはないけど、疑問もあってさ……。

　全くないでも無い考えだけど、それが一番なのかもしれないし全面否定出来ない……でもそんなコト言ってたら今まで俺と遊んだ女はどうよ。

　初めてとか違うとか気にしちゃいなかった、結婚のケの字も聞いたこと無い。

　というか、そんなヤツいないよ、全員が、済マークだった。

　そんなこと言い出すのも、初めてだったのも

　後にも先にも多分きっと、コイツだけだよ。