ひと夏の恋

@hironcho99

第1話 きっかけ

出会いはキャバクラだった。

徐々に太陽が出てる時間が長くなり長そでを着る機会が少なくなってきた4月の終わりころだった。


僕はよく先輩とキャバクラに行く。

僕の先輩は少しだけ変わっていて一回行ったキャバクラには入ることはなかった。何かの先輩ルールらしい。そんなある日、珍しく同じキャバクラに入っていく先輩がいた。僕はいつも通り先輩についていった。まぁいつもの感じかなと思ったら違った。なんと女の子を指名してたし、いつもなら女の子を交えて僕と話してくれていたのに嬢と二人の世界に夢中になってた。取り残された僕は何をしたらいいんだろうか。


よく考えてみるとキャバクラって本来ならば嬢との会話を楽しむ場所の気がするのですが、僕らはいつも嬢を交えて、もしくは無視して話してました。なぜいつもそんな感じなのかと先輩に聞きました。そして返ってきた先輩のキャバクラに行く理由が


「俺の大先生がキャバクラ好きで、その人の顔を立てに行くだけだから。あとドリンクを勝手に作ってくれて花が近くにあって楽しくない?」


って、もはや女の子がいれば満足みたいなこと言ってる人なんです。

そんな先輩が指名を、、、


いつもオプションサービスは一切しないのに今日だけなぜしたのかがめちゃめちゃ気になって、居ても立っても居られなかったのでその場で僕は先輩にどうして指名したのかを訪ねてみました。

それほど僕の中では意外で珍しく驚愕のことだったのです。

なんでも、付き合いが長い嬢らしく、たまたま僕たちがよく飲んでいる地域に先輩がいるのが嬢に伝わって、


「いるんだったら来てよ」


って嬢から呼ばれたからだそう。僕の目の前でイチャイチャする先輩。


「ただ花があればいいって言っていた先輩もやっぱり花を眺めるだけじゃなくて、ちゃんと香り嗅いだり、愛でて楽しみたいんじゃないか!!」


でも安心した。先輩もなんだかんだ言って男だった。連絡先交換とかも一切しないし、キャバクラに行っても軽く嬢と話して終わってた先輩。毎回行くたびに、先輩についた嬢から文句を言われるのが僕の役目みたいになってた。嬢からの文句をネタにこそっと楽しんでいたので嫌ではなかったのですが。


そんな先輩が僕を残し嬢を指名して楽しんでる。先輩が楽しんでるんだったら、こちらも嬢との会話を楽しもうと思いました。ただ、そもそも僕は嬢との会話をあまり楽しめないタイプです。お店に入り僕の席に嬢がつくとテンプレート会話のみで盛り上がることがなくすぐに嬢に場内指名がはいって終わっちゃうのです。


もう少し時間があれば会話を楽しめるかもしれない、テンプレート会話以外がを話せるんじゃないかなと思って、いろいろな嬢を場内指名をしてた時期もありました。そうすると嬢がしゃべれなくなるんです。大抵の嬢は新規のお客さんだと短期決戦で意気込んでくるので長くなっちゃうと話すことがなくなっちゃうんじゃないかな。(僕の個人的な感想です。)それがわかってしまってから場内指名も入れることはなくなりました。ましてや先輩と行くときなんかはほとんど入れたことがなかったです。先輩と話してばかりで嬢とあんまり話さないですもの。


「○ちゃんね。初めまして。よろしく。そうなんだ。へぇー。またね。」


テンプレート的会話をこなして嬢の交代時間。

「次の嬢で時間的に最後かぁー、そろそろ終わる頃だなぁー」

なんて、ぼぉーっと考えていたところに彼女は現れたのでした。キャバクラでの1セットの彼女と出会った残り少ない時間は僕にとって、暴風雨の中に必死で木にしがみついている気分でした。まだ今年の台風は上陸もしてない中で、僕のところにだけ激しくかき乱しにやってきました。

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