第7話 ミッション完了!

 水着ファションショーが終わり、かのんと楠山さんは他の水着をまた見に行った。


 俺と大雅は自分達の水着を見に、男性売り場へ移動した。


「奏風、この派手な水着どうだ?」


「いやいや、大雅には合ってない」


「それなら、奏風は何にしたんだよ」


「シンプルイズベストで紺の水着だ!!」


 派手な水着を選んで目立つより、シンプルな色の水着を着た方が海を楽しめるし、かのんにも笑われないやろ。


「奏風、もう少し遊び心を持った水着にしようぜ〜」


「遊び心の水着なんていらないやろ。女子と海に行くんだから」


 俺がそう言うと大雅は派手水着を持ち、落ち込みながら踵を返し元の位置へと戻しって行った。


 それを見送った後、後ろから声が聞こえた


「奏風先輩!私たちは水着決まりましたよ!」


「あれ?大雅は?」


 かのんと楠山さんが戻って来たのである。

 てか、ファションショーできた水着ではなく、新しい水着を選んだのか


「大雅は派手な水着を持ってたからそれはないって言って、別のを探しに行ったよ」


「まぁ、大雅は選びそうだから想像はついてたけど奏風くんがいてよかったよ」


「そうか。それで、かのん達はどんな水着を選んできたんだ?」


 そう俺が2人に聞くと、2人は目を合わせてにっこりと笑い、そして俺に向き直し


「「それは、当日までのひ・み・つです!」」


 と言ってきた。

 そう言われると、ますます気になってくるな。

 だって、水着だぞ!!ファションショーした時点ですらあの破壊力なんだから、ちゃんと選んできた水着はその上を行くに違いない!


「学校で話した様に、悩殺できる水着を選んできたので覚悟しといてくださいね!」


「どーんとこいだ!」


 今はこれしか言えない…これ以上言葉が出ないからってのもあるけど。


「私も大雅を悩殺させちゃおうかな〜」


「一緒に悩殺させて独占欲高めちゃいましょう!」


「その案、賛成!」


「いや、乗っからないでください」


 俺がそう言うと後ろから


「杏奈、俺からもそれに関しては一旦考えてくれ」


 と戻ってきた大雅に言われた。


「なんでよー!ぶー!」


 楠山さんが大雅の言葉に不満があるらしく不貞腐れてる。


「もう既に、杏奈の虜だからその必要がないから」


「大雅…いつの間に私の虜に…はっ!私、誘惑のスキルでも覚えたのかしら!!」


「いやいや、現実でそれは覚えられない。ただ…昔から好きだったし、彼女になってくれたから…」


「大雅…」


 なんだこいつら、俺の目の前でイチャイチャしやがって。かのんはかのんで目を輝かせてるし、時々チラチラとこちらを見て、俺に何か言いたそうにもしてるな。


「どうしたんだ、かのん?」


「私も…奏風先輩が私の虜になって欲しいです!!」


「俺を虜にするには、かのんにはまだ無理かな〜」


「絶対私の虜にして、彼女にして貰いますからね!!!!!」


「期待してるぞ!」


 まぁ、ほぼかのんの虜になってるんだがなんか反応が可愛いからもう少し様子見よう。

 てか、今の話だとやっぱり俺から告白しないとダメなのか…

 困ったな…そう思っていたら、さっきまでイチャイチャしてた大雅楠山カップルが


「お前ら何してんだー?置いてくぞ」


「かのんちゃん、行こ!」


 おいおい、置いてくぞじゃねーよ。さっきまで2人で何してました?こっちはそれを待ってて、かのんと話してたんですが?

 そう思いながら、大雅達の元へ向かい———


「大雅はマイペースだな」


 と、話したら「そんな事ないと思うけど、まぁ奏風が言うならそうなんだろうな」と予想外の言葉が返ってきた。


 俺はてっきり、「それは杏奈の方だ」とか「奏風の方だろ」と予想してたんだが…


 そんなこんなで、デパートを出て近くのベンチに座っていた。


「さて、海は夏休みに行くことは決定だけど夏休みのいつにしようか?」


 楠山さんが早くも予定を立てる気満々でいた。

 だが夏休みまで一応、2週間はまだ先だから予定を立てるにしても早い気が———


「杏奈、予定はもう少し後にしよう。今から決めても何があるか分からないし、せめて1週間前くらいだな」


 大雅も同じ事を思ってたらしい。

 それに対して楠山さんは


「早く決めた方が、楽しみが増えて学校頑張れるのにな〜」


 そんな事を呟いた。


 まぁ、確かに楠山さんは俺たちとは学校違うし大雅と遠距離恋愛みたいになってるから、楽しみがあった方がいいよな…

そう思いかのんに耳打ちして、


「かのん、夏休みになる前まで週に何回かまた楠山さんと会おうか」


「それはいい提案ですね!私も杏奈ちゃんとはお話したいです!」


 かのんはノリノリで俺の提案に乗ってくれたので、大雅達に伝えた。


「楠山さんが良ければ、夏休み前に週に何回か俺とかのんが会いに行きますよ!大雅に連れてきてもらい」


「ほんとですか!!!大雅!奏風くんとかのんちゃんをちゃんと私の所に連れてきなさいよ!!そしたら、夏休みの予定も後日できるんだから!!!」


 楠山さんは喜んでその提案に首肯してくれた。

 そして、大雅は導き手としてまた楠山さんに逆らえない命令をされていた。


 その後は大雅と楠山さんは一緒に帰って行き、かのんは別の予定があるとかで俺とは反対の方向へ向かっていった。


 俺は1人になり、何もすることがなかったので家へ帰宅した。


 「ただいまーって言っても誰もいないから」


 と思っていた…


 「おっ!帰って来たか我が弟よ!」


 その言葉に俺は驚いた!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る