第5話 親友の彼女と対面

「えっ!?今なんて言った?」


「だから、他校に彼女がいるんだよ俺!!!」


(あまりにも突然で、衝撃的な内容すぎて驚いた)


 俺以外に興味を示さないかのんだって、不意打ちすぎて驚いてたしな…


「いつからいたんだよ。しかも他校の彼女って、接点が見つからないんだけど」


「彼女との馴れ初めを簡単に言えば、幼馴染の友達が恋人に変わったって感じかな」


「大雅って幼馴染いたのか!?」


「いるよ!!小学校からの付き合いで」


「それでね、彼女がもうすぐ夏休みだから海行こうって言ってきて…奏風達も誘おうよって言ってるんだよね」


「達?かのんの事も含めてる?」


「かのんちゃんも含まれてるよ」


 あれ?俺のことは多分、大雅から聞いたと思うからわかるけど、かのんの事を何故知っているんだ?


「大雅先輩、なぜ彼女さんは私の事を知っているのですか?」


 そう思っていたのは俺だけではなかったらしく、驚いてからずっと固まっていたかのんが急に話だした。


「かのんちゃんから話しかけてくれた!!俺、嬉しいな〜」


「あっ、すみません。あまりにも疑問になったので、質問してしまいました。もういいです」


「あっ、待って、すみません。話しますから。無視しないでください」


「かのん、話してくれるらしいからちゃんと聞こ?」


「奏風先輩がそう言うなら聞きます!」


 早めにかのんと大雅を仲良くさせないと…俺がずっと仲介役になって大変なんだよな。


「率直に話しますと…お察しの通り、かのんちゃんの事を彼女に話してます」


「私、勝手に話されるの嫌いなんですけど。奏風先輩ならいくらでも話されてもいいんですが」


「うぅ…やっぱり奏風以外には厳しいな」


 今にも泣きそうになってるな。大雅が恥をかきそうだからそろそろ止めるか。


「かのん、あまり責めないで。そのおかげで海に行けるかもしれないんだよ?」


「そうですね!奏風先輩を悩殺できる水着を選ぶので楽しみにしててください!!」


「お…おう」


「奏風…ありがとう…」


「まあ、いいから。それで海にはいつ行くんだ?」


「あっ!それで、今日の放課後に予定を立てたいから集まろって話があって」


「急すぎるだろ。まぁ、いきなり言われても俺は暇だから平気だけどかのんは…」


「私は平気ですよ」


「2人とも大丈夫そうだな。じゃあ、彼女に連絡しとくよ。それとね、水着も買えたら買うつもりでいるから」


「はいはい、わかりました」


「かのんもそれで大丈夫?」


「大丈夫です!奏風先輩がいればどこでも行きます」


「じゃあ、放課後になったら校門前で待ち合わせ!かのんちゃん、奏風と待ってるね」


「わかりました…奏風先輩の為に早めに行くね!」


「やっぱり、俺には冷たい…」


 キンコーン カーンコーン 


「ほら、チャイムなったぞ。次の授業料に遅れるぞ」


「むー…わかりました。奏風先輩、また後で!!」


「そうだな、前見てないと危ないぞ」


「じゃあ、俺も席に戻るわ」


「俺もそうする」


 かのんがもう少し、大雅と話せたらな…と思いつつ自分の席へ戻っていった。


***


放課後になり俺は大雅と校門でかのんを待っていた。


「かのんちゃん、遅いね」


「俺たちのクラスが早すぎるんだよ」


「まあ、確かに早い事には早いな」


 2人でそんな事を話していたら———


「奏風先輩!!!お待たせしました!!」


「俺達も今さっき来たところだから大丈夫だよ」


「そうそう!俺もいるからね?」


「あー、大雅先輩もいたんでしたっけ」


「俺…つらい…」


 ボソッと俺にだけ聞こえるように言うなよ


 はぁ、もう仕方がないな


「かのん、少しだけでもいいから大雅と仲良くしてくれないか?」


「何でですか?」


「これから大雅の彼女と会うやろ?その時に向こうに失礼に値するかもしれないし、彼女も嫌な思いするかもだよ?」


「うーん…そこまで言うなら少しだけなら許しましょう」


「でも、安心してください!彼氏持ちの女の子はみんな私、仲良くできます!!フリーな女は敵ですが…」


 何か怖い言葉が聞こえて来た気がするが一旦、無視しよう。


「それじゃあ、大雅と挨拶して」


「はい!大雅先輩、これからよろしくお願いします」


 俺の時の返事と大雅への挨拶のテンションの差がまだまだ大きいけど今はこれでいいか


「よろしく!かのんちゃん」


「それと、奏風…かのんちゃんと仲良くさせてくれてありがとう…2人の恋、応援するね」


 うん?何か変なこと言い出したぞ?


「な…何言ってるんだよ!それより彼女さん待たさせていいのか?」


「うん、かなりやばいね。急ごう!」


 俺達3人は急いで待ち合わせ場所まで走って行った。


 目的地に着くと1人の女子高生が立っていた。


「あっ!大雅!!おっそーい」


「ごめんごめん、これでも急いだんだよ?」


「まぁ、いいよ。それよりも後ろの2人が例の?」


「そう!例の話してた2人」


 おい、話した事は聞いてたけど一体どーゆう風に伝えてたんだよ。


「初めまして、大雅の幼馴染で彼女の楠山杏奈くすやまあんなと言います。以後、お見知りおきを!」


「初めまして、大雅の親友の月舘奏風と言います」


「こんにちは!奏風先輩の彼女候補の大園かのんです!よろしくね、杏奈ちゃん!」


 彼女候補は聞き捨てならないけど、かのんが俺以外で楽しそうに話してるのをあまり見ないから新鮮だなぁ〜


「ふむふむ…奏風くん、なかなかいい素材ですねぇ〜」


「杏奈ちゃんに奏風先輩は渡しませんよ!それに、大雅先輩がいるでしょ!」


「取らないから安心して!」


「奏風くん、大雅とこれからも仲良くしてやってね」


「杏奈…それ俺の前で言わなくても…」


 大雅、今日何回泣かされそうになってるんだよ。


 それに楠山さん、距離感近くて少し苦手だ…


「それじゃあ、話しながらデパートへレッツゴー」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る