第5話

わたしはさが県民である。


他の県は大騒動になっている。


もちろん、一番最初にゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人に占領されて勝手に独立させられた佐賀県が一番大変な目にあっているし、ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人が通るたびに平伏しなければならない。


しかも今日の全国都道府県のゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人討伐の流れは佐賀をさらなる窮地に立たせているのだ。


なぜかというと、

ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人がさが県民に大砲の製造を強いている。大砲。

ローリングサンダーガタリン砲なんてネーミングの急ピッチの製造だ。


しかも、なぜか磁石とよばれるものを使用して作ると言い出すものだからどうしたものか。たしか、磁石は有田焼を作るときにもちいるものだったはずだ。そんなもので砲弾なんて作れるのかと疑問に思いながらもわたしたちは彼らに言われるままに作った。


そんなときに、工場の外をみると干潟でなにやら、カラスがたくさん集まっているではないか。


カラスのなかには一羽のかちがらす。



それに対立するかのようにいるのは、大量のワラスボ。


なにやら、喧嘩をはじめたらしい。


その間にオロオロしているのが一匹のムツゴロウ。


なんてのんびりとしているのだろうか。


さが県民たちがこんなに大変なときに彼らはのんびりと喧嘩をしている。


うらやましいものだ。


でも、



なんだか



ほんわかなる。



わたしは


カラスとワラスボの喧嘩と



それをピョンピョンと跳び跳ねながら、オロオロしてきるムツゴロウをみながら、


こんな状況のなかでも


穏やかな気持ちになった。


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