サガンワールドストーリーズ

野林緑里

我輩はむっちゃんと申す

第1話

我輩はむっちゃんと申す。


「佐賀県」に住むものなり。

泥のような色をしているのだ。


我輩は飛ぶ。


我輩は跳ねる


我輩を捕まえようとする愚か者がいるようだが、我輩を決して捕まえることができぬ。


そんな我輩が最近の「佐賀県」の様子がおかしいのだ。


行き交う人々の顔が緑色をしており、所々に縫い目らしきものがある。


ゆらゆらと揺れながら歩く人々にあふれ、


そうでないものは


ゆらゆらと揺れるものたちに道を譲り平服しているのである。

我輩は


ぴょんぴょんと飛びながら、平服している佐賀県民に尋ねてみたのである。


話を聞いていると最近佐賀県が独立したようであった。


知らぬ。

知らぬぞ。


我輩は聞いたことないぞ。


どういうことなのか尋ねてみると、


どうも


なんかよくわからん星人が突然現れて、佐賀県を占領したようだ。


そして、


なにかよくわからん星人が佐賀を皮切りに全国制覇しようと企んでいるらしい。


それでよいのかと尋ねてみる。


「よかっちゃなかとやあ。おもしろそうやっか」


あっさりと答えてくれた。


そんなものなのか?


それでよいのか?


我輩にはわからなかった。


「まあ、きみにはわからんやろう?

いつもガタで潜っとるムツゴロウにはわからんとよ」


うーん。


たしかにそうだ。


我輩はむっちゃん


有明海のガタで生きているムツゴロウだ。


人間世界のことなどよーわからん。


けど、


なんたら星人に佐賀を乗っ取られるぐらいなら、我輩が乗っ取って



「さがガタガタムツゴロウ王国」でも作ろうかと本気で考えてみたのであった。



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