02話.神託
「この世界は
そして、その崩壊の時は確実に近づいています。
成人を迎えし3人の英傑に我が神託を授けます。
4人の頭の中で女神ユグドラシルの声が響く。
とても透き通ったその声の主が女神であることを本能的に理解するのであった。
しばらくすると3人を包み込む光は収まったが、4人は状況を理解しきれないまま、ただ
「い、今のは女神さま……?」
最初に口を開いたのは神父であった。
その言葉で冷静さを取り戻したアイオンが
「女神の神託…… ということは、文明崩壊の伝承は真実だということか??」
「わざわざ女神が神託として伝えるくらいなんだ、真実と思うべきだろうな」
「アイオン…… クラウス……
ボクもクラウスの意見に同意かな、伝承が真実として神託を受け取ったボクらはどうするべきか……
そして、この武器をどうするべきか……」
「俺たちは伝承について知らなさ過ぎる、まずはそれを知るところから始めるしかないのだろうね。
神父さま、知っていることを全て教えてはもらえないか?」
アイオスに問われた神父は一瞬悩んだ表情を浮かべたのち、3人を連れて村長の家に向かった。
村長とともに伝承に関することを3人に伝えるために。
村長の家に辿り着いた一行は、教会で起きたことを村長に伝えた。
「な、なんと!?
まさか成人の儀式の最中に女神様のご神託を授かるとは……」
「3人は伝承について、より多くのことを知る必要がある。
そして、この村で伝承についての知識があるのはワシと村長の二人くらいだろうからな、だからここまで連れてきたというわけじゃ」
神父の言葉に頷いた村長は、ゆっくりと語り始めた。
しかしその内容は幼き頃の子守唄のように聞き慣れた内容だけであった。
「4000年周期で文明崩壊は起きる、その理由は不明だがまもなくその4000年になる…… ということ以外は、2人でも知らないということか……」
語られた内容が既知のことしかないことに焦りを覚えるアイオス。
そんなアイオスを諭すように、少し気の抜けた口調でクラウスが話し始めた。
「わざわざ神託で伝えてくるぐらいなんだ、その程度しかわからないのも仕方がないさ。
そんなことより、より詳しい情報を手に入れるためにも、俺たちは王都に行くべきだと思う」
「それには同意するけど、王都までの旅路はどうするんだ?
魔物や野盗なんかがいっぱいいるんじゃないかな」
「そんなもん蹴散らせばいいだろ? なんのためにガキの頃から修行やらされてきたんだよ。
それに今の俺たちには、女神から貰った武器もあるしな!」
「俺たちなら問題なく魔物たちも倒せるさ。
それに……
この
3人の視線が女神より貰った武器へと向かう。
そして、武器から漂う圧倒的な存在感に目を奪われるのだった。
「オホンっ。
3人で王都まで行く……、みたいな話になっておるがワシは村長としてそれを認めるわけにはいかぬぞ!」
「何故ですか!!!」
「アイオンよ、落ち着いて聞くのだ。
3人がこの村の中で圧倒的な強さを持っていることは知っておる、そうなるだけの
ただ、世の中上には上がおる。
せめて1年、その女神より賜った武器を使いこなせるようになるまでは村で訓練すべきじゃ」
「そんなもん旅しながら使ってりゃ慣れるって!」
「クラウス!! 村長の気持ちも理解してやるんだ!!
神託も大事だが……
お前たちは村のみんなで育てた大事な子供たちでもあるんだ!!」
村長と神父からの必死な説得を受けた3人は、それを振り切って旅にでるとは言えなかった。
そして3人は1年間の
しかし、その約束は守られることはなかった。
数日の
こうして、「神の
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