エッセイ集
国見 紀行
第1回 楽しい文章と楽しませる文章
国見です。
よく文章を書きます。
小説を書くこと自体は結構好きで…… というか自身の回りの環境からか、楽しいことを妄想することだけが日々の楽しみみたいな子供でした(お察しください)。
ともあれ、少年時代は主に「自分のために作る物語」がメインでした。
自分を投影した主人公や、徐々に世界を蝕む悪の組織。都合のいい展開や頼れる仲間。作られた物語はだいたい作り手である作者のために作られたもので、誰かに読んでもらうため、誰かに喜んでもらうための創作ではありませんでした。
少々前に、きっかけがあって小説を一つ書き終えるまでに至り、応募しました。
結果はもちろんかすりもせず今に至るわけですが、自己分析と他者の皆様からの意見などから分かったこと、というかようやくその意味が自分に染み込んできたので文章にしようと思った次第です。
それは何か。
題名の通り「楽しい文章」と「楽しませる文章」は、当方の中で全く違う物だった、ということです。
楽しい文章とは何か。それは当方が書いていて面白い、楽しい、キーボードがいつまでもカチャカチャ鳴るぞ止まらないぞ、という文章。今結構カチャカチャ鳴いてます。
ですが「楽しませる文章」はどんなものなのか。これが意外と難しい。
書いていて読むことに苦がない文章と言うのは頭の中からなかなか生まれず、文章を書いてから数分~数日置かないと楽しませることができると確信を持って掲載できる文章はできないということです。
今(というかここカクヨム)ではPVという形で読まれた人数や話がすぐ分かるのですが、稚作「魔女の親友にさよならを」は、手前味噌ながら何かしらの話題は作れるのではないかと踏んでいたのですが結果は(以下略)で、その後のネット掲載で出るわ出るわ自分で自分の欠点、自己満足、残念構成…… 上げるとキリがないという。
別件で他の方の作品を読んで自分の感性をそのまま伝えたものの的外れだったり、むしろ不快にさせてしまったりなど、いかに自分が他の方々の感性の外側にいる人間だったと痛感した次第です。
なんで創作界隈に残っているんでしょうね。と、思ったりします。
また少し話が逸れました。
当方がここに掲載している小説「ヴァルマン先生の人外カルテ」はもともと一話完結でしたが、色々あって連載し、完結までに10話をかけて書き終えました。
ツイッターで短編コンテストを呼び掛けておられて、それに乗っかった形で作ったいわゆる「突発物語」です。誰も突っ込みはなかったですが、登場人物はあるゲームの武器の名前をもじっています。
実はこのヴァルマン先生は、かなり「読んでもらいたい」「楽しんでもらいたい」文章を意識して書いてみました。
自分の中ではかなりチャレンジした表現や視点の置き方、続きが読みたくなる話運びなどを色々勉強して書いてみました。
もちろん不完全燃焼した部分も多いです。広げた風呂敷の畳み先をどうするか、結局ほったらかしの設定もありますし、出来栄えとしては60点くらいかな、と思っています。それでも、WEB小説の処女作にしてはそこそこまとまっていて、きちんと完結まで書けたので40点プラスして100点と言っていいと思います。
まあ、PVという明確な数字で客観的評価は出ているわけですが……
現在も二作品を連載しています。
一つはヴァルマン先生のように企画参加作品を連載化して続きを書いている「平行世界~」です。
もともと書きたかった「時間の概念がメインテーマにあるSF」のプロトタイプの前日譚を応募作品として書き上げて(そして指摘されて)続きを書こうと思って書いています。完全に続きを書くこと自体が自己満足ですが、やっぱり未完成だな、と思ってしまったので完成させたくなった、それだけが理由なのでどうかご容赦を。
もう一つの「天奏楽士~」はほぼ100%趣味です。趣味ですが、かつて吹奏楽を経験したことがある人にぜひ読んでもらいたい話にするつもりです。吹奏楽やってた人間が小説を読むのか、という層の狭さを考えたらなんて細いところを通るんだ、と思われるかもしれませんが、そもそも広く浅い文章を目指して書いていない(自己満足の延長線上)というか、多くの人へ向けて楽しんでもらえる文章が書けない時点で色々吹き飛ばしている気がするので今更考えを変えるようなことはないです。
でも、たくさんの人に読んでもらうためにはどういう文章運びがいいのか。
どこが必要でどんな言葉を使えばいいのか。
そんなことを考えながら毎日2,3行書いては消し、書いては消し……
まあでも、「魔女の~」の孤独さに比べれば楽しんで書かせていただいております。
一般公募に応募するのもいいんですが、小説書きというには越えなければならない壁がどかんとそびえ立っているので、なんとか超えなくてもいい方法で頑張ろうと思っています。超えろよ。
久しぶりに思ったことをガシガシ書かせていただきました。
ちょうどいい文章量となりましたので今回はこの辺で。
ありがとうございました。
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