魔法使いの国
中崎ネル
新しい世界
目を開けると、美しい女性が自分を覗き込んでいる。
その女性の髪は、銀色で、耳も少しとんがっていて、不思議なオーラがでている。
「あぅあえ〜」
ココはどこ?と口にしたつもりがうまくしゃべれなくなっていた。
「あらあら、どうしたの?マリン?」
と女性が簡単に、私のことを持ち上げる。
マリン?誰、それ?もしかして私のこと?
頭にたくさんの疑問が湧きあがる。
私の本当の名前は…、ううっ、思い出せない。
でも、私には別の名前があったはずなのにどうして!?
分からない。
けど、現状からいうと、女性が簡単に持ち上げられてしまう体、言葉がちゃんとしゃべれなく、自分の手がとても小さい。これらのことから考えると私は赤ちゃんになってしまったらしい。
そこから、ちょっとづつだが、現状を把握していった。
私はマリンといい、年齢は0歳のかわいい女の子の赤ちゃん。
銀色の髪の美しい女性が、私の母。
そして、私は前世の記憶が断片的だが、残っている。
その記憶をもとにして考えると、私は転生をしたらしい。
この世界で二度目の人生が始まるのだが、
私は0歳。なーんにも出来ない! 無力!
食べて、寝てを繰り返すだけの生活。
早く成長しなければ。
赤ちゃんって、どう成長するんだっけ?
前世の保健の授業の記憶を思い出す。
確か、まずはつかまり立ち。
早速私はベットの周りの柵つかみ、立ち上がる。
うんしょ。
おぉ、結構すんなり出来た!お母さーん。娘の私がつかまり立ちを成功したよー!
と言いたいが、口に出来ない。
むぅ、次は言葉!
まずは、そうだな。妥当な「お母さん」から。
「お、か、さん」、「お、あ、さ、ん」
「お、か、ん」、「お、か、あ、さ、ん!」
言えた!「お母さん」言えた!
こうして、私は第二の人生を生きるため、人の基礎を覚えていった。
そして、ある日。
「マリン」
「なに?おかぁさん」
まだまだだが、ココの言葉はほぼ完璧に喋れるようになった。
「今日は、あなたの誕生日だから、お祝いしましょうね」
といいながら、私の頭をなでる。
へー、ココにも誕生日の文化があるのね。ケーキとかってあるのかな?
とワクワクしながら、お母さんを見つめる。
「そうね、初めての誕生日だから、豪華にいきましょうか」
と言い、木の棒を持つお母さん。
ん?何が始まるんだ?
「お花のドレスにしましょうね」
お母さんはそう言うと、目を閉じ木の棒をベットで座っている私に向ける。
な、何するの?
その瞬間、棒から光がてで私を包む。
まっ、眩しい。とっさに私は目を閉じる。
そして、目をおそるおそる開けると私の体が見たことないキレイでそして良い匂いのする、かわいいお花がたくさんついているドレスを着ていた。
おぉ、何だこれは!?
「おかあさん、こっ、これなに?」
「あら?マリンはまだ、魔法を見たことがなかったのかしら?」
興奮状態の私を見て、首をかしげるお母さん。
そのお母さんは、さっき何と言った?
この世界には、魔法があると言った!!
「おかあさんは魔法がつかえるんだね!じゃあ、わたしは?つかえる?」
「えぇ、使えるわよ。あなたにも魔力が流れているもの。でも、なんの魔法が使えるのかは分からないから、これから試していこうね」
「うん!だから、魔法のこともっといっぱいおしえて!」
こうして始まった第二の人生は、魔法世界らしい。
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