グレイブ・ヤードの図書館
そうま
ep.1 グレイブ・ヤードの図書館
図書館というと、灰色のコンクリートで組み立てられた質実剛健な建造物を想像するかもしれないが、あそこはそうではない。
いびつな形をしたレンガ造りの家々が何棟も身を寄せあっていて、それらがでたらめに接合されている。図書館と呼ぶのは似つかわしくないほど、めちゃくちゃな成りをした建物だ。
働いているのは、女の子が一人。前に行った時は、眼鏡をかけた、落ち着きのある子が中を案内してくれたっけ。うん、楽しかったなあ。
……あそこは図書館のくせに、海辺に建てられている。高波が襲ってきた時のことを考えると、建物の設計主の気持ちがますます理解できない。だか、あの図書館が設立されて以来、海が荒れたという記録は一切ない。
海は、朝も夜も関係なしに、夕焼け色に澄んでいる。クリーム色の砂浜に、ゆるやかな波が寄せては返しを繰り返している。そして、そこに時たま、波と共に本が流れて来るのだ。
手に取る人がいなくなり、その存在を世界から忘れ去られてしまった書物が行き着く最後の場所。だからあそこは、
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