八千代殺人事件

鷹山トシキ

第1話 印旛放水路

 2020年1月10日

 安藤和正は八千代市にやって来た。

 千葉県北西部の内陸に位置し、県庁所在地の千葉市から約13キロメートルの距離である。東京都の都心から約33キロメートル(日本橋起点・鉄道ルート)。都市雇用圏における東京都市圏(東京都区部)のベッドタウンとしての性質が強い。東京都特別区部への通勤率は26.6%。


 下総台地上に位置する。南北を新川が縦断し、新川周辺や印旛沼に近い市の北部は低地である。かつて阿蘇沼という沼が存在したと伝えられる。


 筑波颪つくばおろしの影響もありメチャクチャ寒い。

 筑波颪は、茨城県南部から千葉県北部にかけての地域で冬期に吹く北西風。

 日本列島付近が西高東低の冬型の気圧配置になった場合、日本海から列島に向かって北西の湿った季節風が吹き込む。これが山脈に雪を降らせ太平洋側に吹き降りるが、乾燥した冷たい北西風となって関東地方に強風をもたらす。茨城県南部から千葉県北部にかけての一帯においては筑波山を見通すことができることから、この風を「筑波おろし」と呼ぶ。実際に筑波山を吹き下りてくる風が直接当たる範囲とは関係なく呼ばれている。

「今夜はおでんがいいな」🍢


 和正はまず、印旛放水路にやって来た。

 印旛沼の排水を目的として開削された放水路である。西印旛沼からの流出点(八千代市阿宗橋)を上流端とし千葉市美浜区で東京湾に注ぐ(およそ19キロメートル)。上流にあたるのが利根川であるため、利根川水系に属する一級河川に指定されている。

 

 大和田排水機場より東京湾側を花見川と呼ぶ。分水界をまたぐ開削が難工事となった千葉市横戸町付近も現在は緑深い渓谷様を呈している。天戸と長作にはそれぞれ制水門が設けられ、大潮や台風上陸等による海面上昇に起因する海水逆流を防いでいる。花見川の下流部は「検見川」とも呼ばれている。

 

 印旛放水路の護岸上には、ほぼ全線に渡り人・自転車専用の遊歩道・サイクリングロードが設置されている。管理主体は3分割されており、酒直水門~八千代市阿宗橋間は「印旛沼自転車道」として千葉県が、阿宗橋~大和田排水機場間は「新川遊歩道」として八千代市が、千葉市弁天橋~稲毛海浜公園(検見川の浜)間は、花見川開削用に敷設した(花見川開削工事軌道)残土運搬列車線路跡地の多くを利用した「花見川サイクリングロード」として千葉市が管理する。印旛沼自転車道と新川遊歩道はほぼ全線舗装されているが、花見川サイクリングロードは柏井、横戸付近を中心に未舗装区間が多く残る。

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