第28話春奈推しの野球バカ(7回裏)
あっという間に約束の日曜日になった。
午前9時に桃太郎前で待ち合わせだったけれど、私は午前7時には着いてしまい、流石にすることが無い。
仕方がないので桃太郎像をガン見する。
休日の早朝だからか行き交う人も疎らで、人付き合いが苦手な私からしたら丁度よくて心地が良かった。
当然ながら授業も無いので解放感も上積みされて
自分の体に羽が生えたかの様に軽く感じた。
桃太郎(像)がそんな私を祝福している様な錯覚に陥り、『ありがとう』と思わずお礼を言ってしまった。
祝福!
そう!
今日はある意味デートで
匠くんも来る!
私服見れる!
心ここに有らず
歌わずにはいられなくなったから唄う。
「もーもたろさん、ももたろさん♪」
首を傾げて数人が前を横切る。
ハッと我に帰り、咄嗟に下を向く
ハズイ・・・・・・。
16歳としては有るまじき行為だな
知り合いに見られるとイジメのネタにされてしまうレベルの重症
やってしまった感満載・・・・・。
そんな私を全て静観していたみたいで
クスクスと笑いながら、駅の中から春奈が近付いてきた。
春奈「ご機嫌だねー🎵」
夢「春奈早いね」
春奈「私は夢と遊ぶのを楽しみにしてたからね、早めに来ちゃった❗」
思わず春奈に見惚れる・・・・。
夢「春奈って本当に岡山の人?」
春奈「何それ?」
周りから浮いていたので思わず聞いてしまった。
ヘアセットとか服のコーディネートとか都会的に洗練されていて
変なんかじゃなくてオシャレの度が過ぎていたからである。
春奈「コテコテの岡山人だよ」
しかしカワイイ・・・・・
羨ましくて仕方がない
顔立ちや雰囲気が北川景子に似ているから美人かな
一緒にいるとやはりいい意味で目立つ。
春奈「とりあえず移動しよっか?」
その後は2人で駅地下のサンマルクカフェに行って、無駄話しながらくつろいだりして時間を有効に使い
頃合いを見て待ち合わせ場所に戻った。
戻ると既に匠くんが来ていた。
匠「おはよう!」
アーまぁー期待したよりかは【普通】な恰好だけれど
やはり緊張する。
目を見れない。
そんな私が彼にマゴマゴするのが気に入らないのか、場を打ち砕く感じで
「それでそいつは?」と春奈が不機嫌そうに匠くんに言う。
匠くんは「じゃあ行こうか」と諭す。
どこかに移動するみたい。
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着いた先は【総合グラウンド】内の野球場で
事情を知らない私は
「ここが待ち合わせ場所?」と匠くんに聞いた。
すると
匠「そう、ここで試合をしてるんだ」と答えた。
?
困惑する私に、春奈が耳打ちをする
「そいつの試合を観戦するのよ」
「なにそれ」と私は声を張って返した。
失礼ながら野球には興味が無い。
興味が無いから、ルールなどの情報も承知しない。
結果面白くない。
意図が読めない・・・・。
そんな私を尻目に、匠くんはスマホを取り出して電話を掛け始めた。
匠「もしもし、着いたぜ」
しばらくすると、何処からともなく1人のユニフォームを着た男子が現れて
「よく来たねぇ」と上から目線で絡んできた。
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