第40話 私にききたい秘密って?


「次に来るとき、王都の噂、神殿や魔術局にまつわる話もきいたなら、私に教えてください」


「わかったっす。そうっすよね、気になるっすよね」


帰り支度を終え、スターシアをいっぱいにのせた荷台をひくアルドは、私からの頼みを気軽にうけおってくれました。

次に彼が来るとき、何か新しい話の一つもわかるといいのですが。


「俺、次ここに来るときまでには、スターシアをぜーんぶ売り払ってお金に変えてきますから。じゃあ俺はこれで……って言いたいところっすけど、聖女さん、ちょっとこっちにきてくださいね、あっ、先輩は来ちゃダメっすからね!」


「ああ」


とルカは苦笑いしました。


「なんでしょうアルド」


もっと近く、とアルドが私の手を引き寄せ、肩を寄せました。


「ルカ先輩のこと、宜しくお願いしますね。こんないい子が先輩の彼女なら、先輩の女運の無さもここにきて挽回ってやつっすから」


「んなっ……ち、違います!

私、そういうんじゃありません!」


「まー何でもいいですけど」


と笑いながら、アルドはもう一度私を真剣に見ました。


「じゃあ聖女さん、先輩のこと、ほんと宜しくっす。

……それから、身辺にはよく気を付けて。

町で何か変な噂がきこえてきたら、必ず伝えに来ますから」


そうして荷台を担ぎなおし、私とルカに大きく手を振りました。


「それじゃあまたくるっす! さよならー!」


私とルカは手を振り返すと、アルドが小さくなるまで見送りました。



◇◇◇



「あいつが帰ると、なんだか静かだな」


ルカがしみじみと言いました。


「ふふっ、そうですね。にぎやかな人でした」


「そうだ、君、一つききたいことがあるんだが……」


「何です?」


「その、背中を……」


「背中?」


「いや……

やっぱり何でもない」


「んん、何ですか、途中でやめたら気になるじゃないですか」


「……どうせすぐにわかることだからな。

やはりいい。君にもその……、失礼になるかもしれないし」


「そんなことを言われたら余計気になります」


「秘密だ秘密、さ、ルチル戻ろう」


ルカは言いながら、お家へ戻っていきました。


私は、

「もー! なんの秘密なんですか~!」


と言いながら、その背中を追いかけるのでした。





**********


作者からお知らせ


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

次から第4章となります。もうちょっと大きくお話が動くかな?と思います。

更新がんばります!


もし、ルチルかわいい!

ルカいいぞ! 応援してる!


なーんて思ってくださいましたら、

★評価、フォローをお願いします♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る