お互いの瘡蓋になれたなら

炭酸飲めないオンナ

葛藤



絞れない、選べない優しさは『弱さ』であってそれが相手を傷つけ、いずれ自分も傷つけることになるなんて思いもよらなかった。だって、『優しさ』だと思っていたから。


誰にだってやり直したい過去くらいあるよね

僕は今この状況すらもやりなおしたい



愛してくれないけど、愛してる人。

愛してくれるけど、愛せない人。


__愛してくれる人を愛したかった。




僕は取り返しのつかないことをした。


彼は愛してくれないけど、僕は愛していた。

彼女は愛してくれたけど、僕は愛せなかった。


世間からすれば僕が間違ってるってことは分かってる。

でも、どちらも平等に尊く大切だったから。

彼と彼女の事を想って。

そんな僕の優しさが彼と彼女を傷つけた。

終いにはそんな中途半端な優しさが自分を傷つけた。大切なものが多すぎて何も守れなくなった。



彰人


本当にこれで良かったのだろうか?


俺は遥に幸せになってもらいたかった。

遥に女がいるのは知っていた。

だから、本気で愛せなかった。否、愛さなかった。

俺といても幸せにはなれない。

俺達は違うんだ。

『普通』と。


とか、いい歳した大人が言うけども。本当は、例え自分が愛していなくとも愛されていた遥が羨ましかった。

俺の取った行動は一つの鬱憤晴らしの気持ちも混じっていたのかもしれない。

本当に最低だ。


分かってる。こんなの間違ってるって。

俺は遥と一緒にどうすれば良いか考えることも出来た。だがそれをしなかった。

俺は普通じゃないことから逃げたんだ。普通じゃない事が怖かった。普通になりたかったんどだ。

別れを告げた時の遥の顔が怖くて見れなかった。幸せになれなんて綺麗事言って。遥は俺がいないと幸せになれないかもしれないのに。流石に自惚れすぎかな。




紗也香


今も初めに遥と出会ったあのカフェに入るとそこに彼はいる。

でも他のお客さんに視線を遮られるともうそこに彼はいない。初めてカフェに入った時、彼の微笑みに目が離せなくなったことを思い出す。

今、DVを受けた傷をなぞっても包んでくれた彼はもう居ない。

私が辛かった時に彼はそばにいて包んでくれたのに彼の心の悩みは理解出来ずに非難するだけだった。

そしてきっと、彼が一番辛いときに私は私のエゴで彼を責め、飛び出し私を追いかけて事故に。


私は彼の心の穴を埋めてあげられていたのだろうか?今なら私が彼の心の傷口になり、共に痛み、癒していくのに。

でも、私は彼を愛していたけど彼は愛してはくれなかった。私はあなたに一人の女として見て欲しかった。そんなの言わなきゃ伝わらないのに。

足りない何かが必ずお互いの持ってるものとは限らない。

だったら、それらに蓋をしてしまえば良かったの。衝突して溢れ出した液体を固めて蓋をして、繰り返していけば。


私は取り返しのつかないことをした。

愛のカタチは人それぞれ。

好きになることに国境も人種も性別すらも何も関係ない。

そんな簡単なことに今気づいても。

過去を悔やんでも、彼はもう帰っては来れない。


だから。

私は、大切な人が踏み外す前に踏みとどまらせる足枷になりたい。




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