スキルって言わなくても使えるって知ってた?

@musubi

プロローグ ハートロッカー

 俺は棺桶の中にいた。 闇の中で何故自分がこんな目にあっているのか考えた。 


 理由は簡単。 ネクロマンサーが出たからだ。 ネクロマンサーってなんだって? 簡単に言えば死体を操る術を使う奴らだ。 そんな恐ろしい奴らが現れたから街は大騒ぎ。 


 当然墓守をしている俺に責任がのしかかる。 俺は大人たちが危険だからという理由で墓守を辞めるなかで墓場を守るために戦うと決めたのだった。 奴らと出会うまでは……。 

 

 当然ながら死者蘇生させる現場を見たときは腰を抜かした。 奴らは当たり前のように死霊術を使っていた。 俺は恐ろしさの余り逃げ出して手近にあった棺桶に身を隠した。 と、 ここまでは良かったんだがなんと棺桶には先客がいたのだ。 棺桶には俺同じように棺桶に逃げ込んだ人がいたのだ。 それは俺と同じぐらいの少女だった。 

 

 棺桶にしては大きな棺桶だったので、 そこまで窮屈では無かったが狭いところに男女二人となると少し気を遣う。 最初に二言三言会話しただけでそれ以来ずっと黙ったままだ。 気まずくなった俺は様子をみようと蓋を少し開けた。 するとネクロマンサー達が棺桶を開けているいるのが目に入った。 俺たちを探しているのか金品を奪っているのかはわからなかったが、 俺は不味いと思って蓋を慌てて閉めた。 


「不味い棺桶を開ける気だ」

 

 隣の少女も驚いたようだ。 しかし、 すぐに落ち着いた声でこう言った。

 

「私の策に乗ってみる気はありませんか?」 

 このままだと見つかってしまうので俺は策に乗ってみることにした。

 それは蓋が開くと同時に大声を出して脅かすという子供でも考え付きそうなさくせんだったが効果は抜群だった。


「うわああああああああ! お化けぇえええ!」

 

 悲鳴を上げて逃げ惑うネクロマンサー達。 転んだりしながら逃げていった。

 俺と少女は棺桶から出るとお互いにっこり微笑んだ。 そこで自己紹介がまだだった事に気が付いた。


「俺はヤード。 この街の墓守だ」


「クロネです。 私は……」


 そう言うとクロネは宙を舞った。 なんとネクロは幽霊だったのだ。

 

そしてこう付け加えた。


「幽霊みたいなものです」

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