第拾肆話
居酒屋で友人と飲んでいる途中で、煙草を吸いに席を立つ。
喫煙所は店の外にあるので、そこまで移動する。
俺が一人で吸っていると、70代くらいの男性が喫煙所にやってきた。
煙草を咥え、ポケットをまさぐっている。
ライター探してるのか。
そう思っていると「火、貸して貰えますか?」と声をかけられる。
俺はライターを渡す。
彼は、煙草に火をつけると、礼を言ってライターを俺に返す。
そして、美味そうな顔をして煙草を吸っている。
すると、友人も喫煙所にやってきた。
「おっ。俺らの貸切じゃん」
え?
その言葉に男性の方を振り返ると、そこには誰もおらず、煙草の煙だけが漂っていた。
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