眠るにはまだ早いですよ
ふぁーぷる
第12怪 無形の刃 その1
大好き好きで好きでたまらなく好き、だから。
走ると揺れて止まると揺れる。
君の黒髪のキューティクルは太陽光を受けてまるで天使の輪のように煌めく。
僕の前を歩きながら時折、振り返りながら笑顔を振りまく。
その全てが切ないくらいに愛おしい。
大好きな彼女。
計算されたその仕草、打算的なその笑顔。
声を一つ発する時でさえ、可愛く聞こえる様に仕組むことが一呼吸置く動きで
分かりやすい。
八方美人でちょっとした美人だけど、その計算打算で魅力は倍増する。
君と知り合ったのは大学の合コン。
先輩格にあたる僕は新入生の田舎者たちに恋花の蕾を芽生えさせる様に席を
渡り歩き盛り上げる。
意図していないのにそんな行動が一番モテる。
プチ手品で盛り上げていたテーブルの眼鏡っ子女子が門限だからと帰り支度。
「またね」と挨拶して、後輩たちにも印象付けるように挨拶を促す。
すると、眼鏡っ子は「連絡先おしえてください」と僕に告げる。
ブブブ〜と後輩たちからブーイング。
お前たちがもっとアピールしないからだろうが〜と内心思うも、
まあまあと店を出て行く眼鏡っ子に後輩の手を取って手を振る。
フー毎回こうだ。
スタミナ切れてきた。
もうゆっくり焼酎飲もうかと考えていると、横から別の女の子が
「あたしにも連絡先ください」と小声で話してきた。
眼鏡っ子より少し垢抜けた感じの田舎の女子大生な感じ。
「いいよ」と言いながら外に誘った。
もう後輩たちの仲買はやめて少しゆっくりとしたかった。
外は中洲の川沿いで鰻釣りの屋台がポツリとあった。
「やりたい!」と女の子が言うので誘った手前もあるので五百円屋台の店主に渡す。
釣り竿の糸はすぐ切れた。
すかさず店主が千五百円で鰻の蒲焼売るよと持ち掛ける。
しまった釣られた!
買う羽目になる。
蒲焼をまずは僕にかじらせて美味しそうに食べる女の子。
※男を立てるのが自然にできるんだ。感心。
少し寒くなったからジャケットを女の子にかける。
するとそのまま女の子は店の中に入って行く。
店の中は、もう合コン終盤でお開き前。
ドアをバーンと開けて女の子が入り、その後ろから僕も続く。
腑抜けの後輩等は先輩、もう終わりですと目を向ける。
女子たちは、「ジャケット羽織ってる!」と目ざとく気づき指を指す。
あいたたた。
また、後輩等が騒ぐ。
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